3月11日(土曜)に中山競馬場で行われた第41回GⅢ中山牝馬S(芝1800m・4歳以上・牝馬・ハンデ・晴れ・良馬場)は2番人気のスルーセブンシーズが優勝。管理する美浦・尾関知人調教師、騎乗したC.ルメール騎手ともにこのレースは初勝利。スルーセブンシーズは北海道安平町ノーザンファームの生産馬。馬主は(有)キャロットファーム

 

それでは、レースを振り返っていきましょう。

 

 

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【展開・ペース】 好スタートを決めたシャーレイポピーが行く構えを見せましたが、外からウインピクシスが何が何でもといった雰囲気で押し上げてくると、1コーナーに入る前でハナを譲り、3ハロン目で急激にペースダウン。向正面でクリノプレミアムが動いた時にピッチが上がりましたが、その後の2ハロンは平均的なラップに。ラストは11秒2→11秒3と速く、中山内回りに不可欠な機動力+速い上がりに対応できる瞬発力を求められる展開になりました。

 

 

【レース分析】 勝ったスルーセブンシーズは休み明けを使って中6週でも体重は4キロ増で、当日版の“前日追い変わり身診断”コーナーで、華奢な感じがなくなり、以前とは体つきが変わってきたとジャッジされた通りの好気配。互角のスタートから中団でスムーズに折り合い、道中の行きっぷりも良好。3~4コーナーで鞍上がゴーサインを出して追い上げる時の手応えも抜群。楽に直線の坂下で前に並びかけると、そこからも力強く伸びて、危なげのない勝ち方を見せました。

 

 

 「息遣いやフットワークが良く、ミドルポジションをスムーズに追走できました。3~4コーナーでも手応え良く進出していけて、ラストの場面でも、とてもいい脚を使ってくれました。ゴールした際にもパワーが残っていたくらいですし、更に相手が強化されても通用しそうな感触です」とレース後にC.ルメール騎手はコメント。陣営はレース前に久しぶりとなる1800mへの対応をポイントに挙げていましたが、それを感じさせないくらいの行きっぷりの良さ。舞台は不利を受けながらも紫苑S②着など、高いレベルの走りを見せている中山。昇級緒戦が重賞でも(C.ルメール騎手とのコンビもそれまで2戦2勝)と期待し、当日版で◎に指名した、こちらの期待も上回る走りを見せてくれました。今後はコースが替わって際への対応が鍵になるでしょうが、420キロ台の馬体だった21年のオークス⑨着も0秒7差と大きく負けていませんから、東京1600mのヴィクトリアマイルに使ってきたとしてもシルシはつける必要があるかな、と考えています。

 

スルーセブンシーズの4代血統表

 

 ②着ストーリア(単勝6番人気)は東京芝1800mの大外枠で流れに乗れなかった前走とは違い、中団追走から一歩前にいた⑤着馬をマークするように道中も動く形に。4コーナー3番手から一旦は先頭に並び、そこからも勝ち馬に食い下り、渋太く伸びて連対を確保しました。形の上では格上挑戦でしたが、序盤で不利があった秋華賞⑧着が当時⑤着のアートハウスと同タイムでしたから、本紙が◎に抜擢していたのも納得。牝馬同士のハンデ戦なら重賞でも好勝負の見解も的を獲ていましたね。③着サトノセシル(5番人気)は緩い流れからの瞬発力勝負が得意なタイプではありませんが、初騎乗の田辺騎手が馬群の内につけて、コースロスのない立ち回りからゴール前で馬券圏内に浮上。7歳馬でも能力面の衰えがないことを改めて示しました。

 

 

 一方、1番人気に支持されたアートハウスは④着止まり。12キロの体重減は前走時が10キロ増だったこともあり、極端に細い印象は受けませんでしたが、好位の内で少し力み加減。更に向正面で他馬と接触する場面があり、直線を向いたところでも外からフタをされて窮屈な形に。進路を外に切り替えてからも弾けなかったのは57キロの斤量も影響したと思われますが、自分が戦前に危惧して▲の評価にしたのは走りが大きく、本質的に中山の内回りはどうかと考えたから。広いコースで見直しが必要でしょう。このレース連覇を目指していた⑤着クリノプレミアム(3番人気)も展開的には早めの進出は頷けますが、序盤に鞍上が気合をつけたこともあり、ペースが落ちたところから馬が行きたがる感じも。この馬も瞬発力勝負が向くタイプではありませんし、それでも掲示板に載ったのは地力といえます。

   

text by 五十嵐 友二

 

 

 

 

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