第68回京王杯スプリングカップ回顧

　5月13日（土曜）に東京競馬場で行われた第68回ＧⅡ京王杯スプリングカップ（芝1400ｍ・4歳以上・小雨・良馬場）は2番人気に支持されたレッドモンレーヴが優勝。管理する美浦・蛯名正義調教師はこれがJRA重賞初勝利。騎乗した横山和生騎手も当レースは初勝利。レッドモンレーヴは北海道安平町ノーザンファームの生産馬。馬主は（株）東京ホースレーシング。

それでは、レースを振り返っていきましょう。

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【展開・ペース】　好スタートを決めたベレヌスが大方の予想通りハナに立ち、外から積極的に先行したラウダシオンも先頭に並びかける前に折り合いを優先したので、前半3ハロンは34秒9と1400mのGⅡ、しかもＢコース替わりの芝だったことを考えると、かなりゆったりとした流れ。必然的にレース上がりは33秒7と速くなり、瞬発力の優劣が如実に、結果に反映するような展開となりました。

【レース分析】　勝ったレッドモンレーヴ（2番人気）はスタートが今ひとつでも前回のダービー卿CTほど大きくは遅れず、鞍上も慌てるような素振りはなく、ジワッと中団の後ろ、馬群の外めに追い上げると折り合いに専念。直線を向くと徐々に加速する感じで、残り300mあたりで本格的に追い出された時の反応も抜群。そのまま馬群の外を豪快に突き抜ける鮮やかな勝ちっぷりを見せました。

　「稽古でもコンタクトを取らせていただき、素晴らしい馬だと感じていました。それだけに結果を出せればと思っていたんです。レースでは前走時のような雰囲気がゲートではあったものの、僕自身が馬の邪魔をしないように運べれば、いい結果が出るだろうと信じていました。直線の伸び脚が良かったですし、強かったですね。厩舎も初めての重賞勝利となりましたし、恩返しができて良かったです」とレース後に横山和生騎手はコメント。初めての1400ｍは折り合い面を考えれば、むしろプラスに出る可能性が高く、脚質的に広い東京コースも歓迎でしたから、スタートのロスさえ最小限に抑えられれば納得の勝利ですが、前走よりも一段上、と思えるメンバーを一蹴した決め手は強烈でした。安田記念は今年も豪華キャストが揃いそうなので、実績、経験値の差がどうかという気もしますが、鋭さの生きる馬場、流れであれば順調の強みを生かして、一気に王座奪取があっても驚けませんね。

▲レッドモンレーヴの4代血統表

　②着ウインマーベル（単勝7番人気）は外枠だった前２走と違って難なく好位で流れに乗り、向正面では少し馬が行きたがるのをなだめる感じも。直線を向いてからはすぐ外にいた⑥着馬よりも手応えは劣勢でしたが、この馬に一旦は前に出られながら、渋太く伸びて連対を確保したあたりがＧⅠ②着馬の地力でしょう。距離も1400ｍまでは問題ないことを改めて実証しました。③着が自身が当日版で◎にして、16面の“今日の狙い”にも取り上げていたダディーズビビッド（6番人気）で、当日のテンションが高めに映ったのも、この馬に関してはいつも通り。すっと前目につけて位置取りも理想的でしたが、欲を言えば外枠だった分、少しためが利いていないような感じも。それでも最後まで脚勢は鈍りませんでしたから、やはり左回りの1400ｍは条件的にベスト。勿論、右回りや1200ｍにも対応は可能ですから、展開や立ち回りひとつで重賞勝ちのチャンスは十分にありそうです。

　④着アヴェラーレ（4番人気）はゴール前の伸びが目立ち、上がり3ハロンの数字はメンバー中No.1。勝ち馬の後ろから一旦は馬群の中を突き、進路がなく外に切り替えるシーンがありましたから惜しい内容といえますが、この馬も条件的には今回がベストの印象なので、次走が違う舞台設定になった時は、そこへの対処がポイントになりそうです。3番人気で⑥着に終わったゾンニッヒは直線を向いた時の手応えが絶好でも、そこから弾けなかったように、ベストは小回りコースの印象。1番人気で⑪着のダノンスコーピオンも今回は休み明けで、初めての1400ｍも少し忙しいかも、と考えて▲の評価にした危惧が、内枠だったこともあって、結果的には的中した形に。叩いた本番は巻き返しがありそうです。一団からの瞬発力勝負になったこともあり、他にも直線でスムーズに馬群を捌けなかった馬が何頭か見受けられたので、改めてチェックをして、今後の予想、馬券検討につなげたいと考えています。

text by 五十嵐友二