6月11日(日曜)に函館競馬場で行われた第30回GⅢ函館スプリントS(芝1200m・3歳以上・別定・曇り・良馬場)は単勝3番人気に支持されたキミワクイーンが優勝。管理する美浦・奥村武調教師、騎乗した横山武史騎手とも函館スプリントSは初勝利。キミワクイーンは北海道安平町追分ファームの生産馬。馬主は浦邊輝實さん。

 

それでは、レースを振り返っていきましょう。

 

 

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【展開・ペース】 テイエムトッキュウが大方の予想通りハナを主張すると、好スタートを決めた外のカルネアサーダも無理に競りこむことはせず。一旦はすんなりした展開になりかけましたが、2ハロン過ぎからリバーラが抑え切れない感じで前に出てきたので、そこからは先行集団が雁行するような形に。前2年の前半3ハロンが32秒8でしたから、今年の33秒0は決して猛ラップとはいえませんが、週中の雨の影響もあってか、開幕週の芝としては若干、時計を要す馬場状態でしたし、直線では差しタイプが台頭してくる結果になりました。

 

 

【レース分析】 勝ったキミワクイーン(3番人気)は枠順を意識してか、位置取りよりも折り合いを重視したようで、互角のスタートから促すことなく自然体でポジションを下げて、道中は中団の後ろ。ちょうど一歩前にいた⑤着馬を追うように3ハロン過ぎから進出を開始して、直線を向いてからも脚勢が鈍ることは一切なく、先に抜け出した②着馬を馬群の外から鮮やかに差し切りました。

 

 

 「外枠だったので立ち回りが難しいと思っていましたが、よく辛抱してくれました。ペースも流れてくれたので、開幕週の馬場でもラストを生かせましたね。素晴らしい内容で頑張ってくれました」とレース後に横山武史騎手はコメント。近年と違い、強力な先行型が不在の組み合わせで展開が向いたことは確かですが、これまでは先行、好位差しで好走するイメージがあった馬が、待機策でも力を発揮した点は大きな収穫。細身のタイプで今後のローテーションがポイントにはなりますが、サマースプリントシリーズ制覇に向けて、好スタートを切ったことは間違いないところです。

 

キミワクイーンの4代血統表

 

 ②着ジュビリーヘッド(単勝5番人気)は昨年の②着馬で、軽く気合をつけて流れに乗ると、途中からは先行勢を見る位置を確保。完璧な立ち回りから一旦は完全に抜け出しましたし、結果的には力負けの印象でも、改めてレース運びの巧みさを示しました。テン乗りを感じさせなかった鞍上もそうですが、今後に向けても目の離せない存在といまます。1番人気に支持されたトウシンマカオは③着。スタートを決めて好位のインをキープし、勝負どころでは先に追い上げ態勢に入った②着馬の後ろに収まって手応えも十分。直線でも進路は開けましたが、そこからの弾け方が今ひとつ。58キロの斤量もあるでしょうが、うまく立ち回るよりも、のびのびと走らせる形の方が合っている印象も受けたので、その観点からは内枠が影響したともいえます。

 

 

 ④着カイザーメランジュ(12番人気)はスタートで後手を踏みましたが、直線で内に進路を取ると目を引く伸び。8歳馬ですし、19年の当レース優勝も取消が相次ぎ、少頭数だったので価値は?と考えていましたが、今回のレースぶりを見ると地力は確か。過信はできなくても常に注意は必要と、評価を改めることにします。そして⑤着が本紙で◎に推していたブトンドール(2番人気)で、10キロ増の体重も滞在競馬に替わったことから想定の範囲内。気合をつけながらの追走も過去に見ていましたが、それでも勝負どころからの反応は少し物足りず、ジリジリと伸びたものの掲示板を確保するのがやっと。昨年までより3歳牝馬の負担重賞が重かったこともありますが、今回の内容だと過去の戦績は別にして、ベストは1400mなのかも、といった印象も。それでも続けて1200mを使ってくれば慣れが見込めますし、そのあたりの判断は中間の攻め気配なども含めて、次走以降にしたいと考えています。

 

   

text by 五十嵐 友二

 

 

 

 

 

※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。

 

 

 

 

 

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