8月20日(日曜)に札幌競馬場で行われた第59回GⅡ札幌記念(芝2000m・3歳以上・定量・晴れ・稍重馬場)はプログノーシス(単勝2番人気)が優勝。管理する栗東・中内田充正調教師は当レース初勝利。騎乗した川田将雅騎手は3勝目となった。プログノーシスは北海道千歳市社台ファームの生産馬。馬主は(有)社台レースホース

 

それでは、レースを振り返っていきましょう。

 

 

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【展開・ペース】 内めのジャックドールが好スタートを切りましたが、大外枠からユニコーンライオンが1コーナーまでの長い直線を利して一気に先制。アフリカンゴールドがこれに続き、3番手にも積極策を選択したウインマリリンが位置。5ハロン通過60秒4は時計のかかるこの日の馬場状態を考えても決して速くありませんが、中盤以降もペースが緩んだところがなかったので馬群は縦長。更に馬場の荒れた箇所を避けるように、外を回る馬がいたので向正面では馬群が横にも広がり、結果的にはここで空いた内を追い上げた馬が上位に入線。馬場の巧拙が明暗を分ける形になりました

 

 

【レース分析】 勝ったプログノーシス(2番人気)は互角のスタートから自然体で後方集団につけましたが、1~2コーナーでは内に進路を取り、向正面に入ると早めにスパート。更に3コーナー手前で馬場のいい外めへ進路を変えても勢いは衰えず、馬群の中を割って直線入り口では先頭に並びかけ、そのまま最後まで力強く伸びて後続を突き放しました。

 

 

 「返し馬の感触がそこまで良くなかったので、この馬自身がどんな競馬ができるかに重きを置きました。ゲートでもいつも以上にうるさかったですが、出てくれたので自分のリズムを大事に運びました。道中のリズムは良かったので、この馬なりに無理せずポジションアップできました。今までやってきたこととは違う形でしたが、4コーナーでの雰囲気は良く、こういう特殊な馬場で適性の差も出たんでしょう。ポテンシャルは凄く高いですが、それを発揮するのがとても難しい馬。今日も簡単ではない形でしたが、能力を発揮して重賞まで取ってくれて、胸を張っていい内容だと思います。多くのお客様の前で人気を背負いながら、素晴らしい走りをしてくれました。また秋のこの馬の走りを楽しみにしてもらえればと思います」とレース後に川田将雅騎手はコメント。鞍上の巧みなエスコートも光りましたが、それを可能にした馬の操縦性の高さは今までに見られなかったもの。香港のQE2世Cで馬込みの中の競馬を経験したことが今回に生きた印象ですが、道悪も決して得意なタイプとは思えませんでしたし、この勝ちっぷりは率直に想像以上。秋に本来の身上である鋭さが生きる舞台でどんな走りを見せるのか、興味は尽きません。

 

プログノーシスの4代血統表

 

 ②着のトップナイフ(9番人気)は自分が皐月賞で本命にしていた馬なので、力を発揮できれば好走しても驚きはありませんが、懸案と考えていたスタートを普通に出られたことが何よりの収穫。こちらは最初から最内で立ち回る競馬を決め打ちしていたようで、時計のかかる馬場状態も味方しましたが、もともと流れに乗れれば自在にレースを運べるタイプ。メンバー的にも55キロで②着は立派ですし、菊花賞も高速決着にならなければ、上位争いが期待できそうです。③着ソーヴァリアント(4番人気)は最内枠だったこともあり、これまでよりは後ろの位置で末脚を生かす形。道中も馬群の中で我慢して、勝負どころでは勝ち馬の後ろを追い上げて、最後までバテてはいません。伸び脚の違いは馬場の巧拙の差もあるでしょう。この馬の場合は近走を考えると、まずは普通の競馬ができたことが何よりですし、今後も力通りの走りができれば、更にパフォーマンスが上がることは確実でしょう。

 

 

 ④着ダノンベルーガ(3番人気)はスタート後にゴチャつく場面があって後方から。向正面では勝ち馬の後ろから位置を上げましたが、こちらは鞍上が気合をつけており、直線も内から伸び切れなかったのは馬場の影響でしょう。それでも右回りの1周競馬に対応した点は収穫ですし、今後に向けても評価できる内容といえます。更に次走以降に向けて注目したいのが⑤着のヒシイグアス(7番人気)で、序盤からノメって進みが悪かったですが、馬群の大外を回って最後は脚を伸ばしていました。状態さえ整っていて良馬場なら、どこかで大仕事をしてくれそうな予感がします。一方、本紙で◎にしていたジャックドール(1番人気)は残念ながら掲示板に載れず⑥着。序盤の立ち回りは想定内で、フットワークの大きな馬ですから、馬場のいい外を回ったことも納得。ただ、3コーナーあたりから手応えが悪くなり、伸びを欠いたのは、やはり道悪が応えたからでしょう。もともと広いコースの良馬場が理想で、札幌の芝コースはコーナーが緩いから力を出せると考えていましたから、秋の天皇賞に駒を進めてくれば巻き返しは十分に期待できるはずです。

 

   

text by 五十嵐 友二

 

 

 

 

 

※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。

 

 

 

 

 

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