9月9日(土曜)に中山競馬場で行われた第8回GⅡ紫苑S(芝2000m・3歳・牝馬・馬齢重量・晴れ・稍重馬場)はモリアーナ(単勝4番人気)が優勝。管理する美浦・武藤善則調教師、騎乗した横山典弘騎手とも当レースは初勝利。尚、③着までに入ったモリアーナ、ヒップホップソウル、シランケドには秋華賞の優先出走権が与えられる。モリアーナは北海道安平町ノーザンファームの生産馬。馬主は高橋文男さん。

 

それでは、レースを振り返っていきましょう。

 

 

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【展開・ペース】 好スタートを決めたフィールザオーラが迷うことなく先手を主張しましたが、ソレイユヴィータ、アマイも差がなく続き、1000m通過58秒1は開幕週の芝でも、稍重だった馬場状態を考慮すると速めの流れ。そのため後半の5ハロンはすべて11秒8以降のラップが刻まれる消耗戦となり、スピードよりも地力、末脚の確かさが求められるレースになりました

 

 

【レース分析】 勝ったモリアーナ(4番人気)はアオり気味のスタートでしたが、最初から折り合い優先の待機策だったようで、鞍上は慌てる様子もなく後方に位置。道中も最後方に近いポジションでしたが、3コーナーあたりから徐々に内を追い上げ、4コーナーでは馬群の中に進路を取るとアクセル全開。ラストの1ハロンは更に鋭さを増したかのような末脚で、一気に前を捉えました。

 

モリアーナには2度目の騎乗で最高の結果を出した横山典弘騎手

 

 「休み明けで少し体の使い方がモタモタしていたけど、大事に運んでいた分、最後はいい感じに弾けてくれました。もともと凄く能力のある馬。まだまだ若いお姉さんといった感じで、いいところがたくさんありますからね。無事にいってほしいです」とレース後に横山典弘騎手はコメント。戦前には初距離を懸念する声も聞かれましたが、折り合い面に進境が見られるから、と本紙は◎にしていましたし、厩舎側からも「鞍上は距離延長に悪いイメージは持っていません」との談話が出ていましたから、終わってみれば能力通りといえる結果。確かに展開も向きましたが、道中、行きたがる感じがまったくありませんでしたから、2度目の騎乗で決め手を存分に引き出した鞍上もさすがの一語。今なら関西に遠征しても、掛かって大敗した阪神JFとは違う走りが見られそうです。

 

モリアーナの4代血統表

 

 ②着のヒップホップソウル(2番人気)は序盤から好位の内につけて、こちらも折り合いはスムーズ。終始、前を射程圏内に入れて、直線で抜け出す普通なら完全に勝ちパターンの競馬。ゴール前は鞍上がチラッと外を見て、何が来たんだといった様子でしたし、展開面を考慮しても負けて強しの内容。敗れはしましたが、オークス④着時より成長していることは示しました。③着シランケド(9番人気)はスタートで後手を踏み、今回も後方からの競馬に。結果的に展開が嵌まった面もあると思いますが、1勝馬がGⅡに挑戦して、馬群の外を回って最後まで伸びたのは資質の高さ。粗削りでも将来性を窺わせるレースぶりでしたし、②着馬と同様、本番でも無視はできない(シルシをつけられるかは微妙ですが)印象を持ちました。

 

▲近年は秋華賞に直結している紫苑S。GⅡに格上げされた今年も上位馬から目が離せない。

 

 ④着キミノナハマリア(6番人気)は道中、②着馬をマークするような立ち回り。勝負どころで少し反応が鈍くなりましたが、渋太く伸びて一瞬は連対も、と思わせました。切れないがバテないと感じていた戦前のイメージは間違っていなかったようですが、馬の特性をしっかりと把握した鞍上のレース運びも印象に残りました。1番人気で⑩着のグランベルナデットも道中の運びは悪くなかったのですが、消耗戦となって休み明け(腸炎でオークス回避)の影響が出た様子。3番人気で⑫着のソレイユヴィータは3連勝が坂の緩いコースの1800~2000mでしたから、急坂のある中山で緩みのない流れを積極策では厳しかった印象。この2頭はともに次走が真価を問う一戦になりそうです。また、自分が◎にした⑥着ミタマ(10番人気)も見どころのあるレースはしたと思うので、こちらは“次走の狙い”で取り上げることにします。

 

   

text by 五十嵐 友二

 

 

 

 

 

※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。

 

 

 

 

 

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