第42回ニュージーランドＴ回顧

　4月6日（土曜）に中山競馬場で行われた第42回ＧⅡニュージーランドトロフィー（芝1600ｍ・3歳・馬齢重量・曇り・稍重馬場）は3番人気に支持されたエコロブルームが優勝。管理する美浦・加藤征弘調教師、騎乗した横山武史騎手とも当レースは初勝利。この結果、エコロブルーム、ボンドガール、ユキノロイヤルの3頭がＧⅠ NHKマイルカップの優先出走権を獲得した。エコロブルームは北海道安平町ノーザンファームの生産馬。馬主は原村正紀さん。

それでは、レースを振り返っていきましょう。

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【展開・ペース】　全体に内枠勢の方がスタートが良く、その中からユキノロイヤルが積極的にハナを主張すると、他馬は折り合いを優先して控える形に。前半4ハロンが47秒3に対して後半は47秒1。ペース的には緩めの平均といったところですが、道中のラップに11秒前半は1箇所しかなく、見た目にも隊列に大きな変化はなく、全体に落ち着いた流れ。緩い馬場状態もあってか、外を回る差しタイプには厳しい展開になり、馬場の内めを通った先行、好位組が馬券圏内を占める結果になりました。

【レース分析】　勝ったエコロブルーム（3番人気）は3カ月ぶりの実戦で体重が8キロ増と、成長分を考慮すれば理想的な仕上がり。互角のスタートからスッと好位をとると折り合いをつけて、序盤は若干、掛かり気味でも向正面に入る頃には追走もスムーズに。勝負どころでも手応えは十分で、直線は一瞬、逃げた馬の内を狙いましたが、すぐに外へ進路を切り替えると鞍上のアクションに応えてしっかりと伸びて、ゴール前で鮮やかに抜け出しました。

　「先生とも事前に話をして、ポジションはどこでもいいから、リズムを大事に運びました。自然と先団を取れましたし、少し噛むところはありましたが我慢してくれて、いい走りっぷりだったと思います。直線で一旦、内を狙って、そこは僕の判断ミスで軽く引っ張るところがありましたが、再加速したのは馬の力で、助けられました。まだ成長途上の段階ですが、調教に乗せてもらった時から柔らかみがありましたし、いい背中をしていたので、期待していました。悪い馬場でもへっちゃら顔で走ってくれましたし、素晴らしい馬です。今後も重賞だったり、ＧⅠだったりしても、チャンスはあると思います」とレース後に横山武史騎手はコメント。過去のレースでも見せていたセンスの良さを存分に発揮しての勝利だったと思いますし、初勝利は東京コースで上がり33秒2を記録していますから、NHKマイルCがパンパンの良馬場になったとしても、自身のパフォーマンスに影響はないはず。本番に向けてのポイントは別路線組や今回が不完全燃焼だった馬との力関係に尽きると思われます。

▲エコロブルームの4代血統表

　②着ボンドガール（1番人気）はスタートを決めて、好位に下げると頭を上げるシーンもありましたが、周囲に馬のいるポジションを取れたこともあり、道中の折り合いは概ねスムーズ。勝ち馬の一歩前から伸びて、前を捉えたところで決め手に屈して交わされましたが、半年ぶりの実戦だったことを思えば及第点の内容。次走は叩いての上積みも見込めますが、まだ折り合い面の課題をクリアしたとは言い切れないので、本番も内めの枠がほしいところですね。③着ユキノロイヤル（9番人気）は果敢にハナを切った鞍上の好判断が光りましたが、枠順の恩恵は大きく、ここまで中山マイルで2勝とコース適性の高さも見せていた馬。次に向けてはコース替わりが気になりますし、他にもスピードタイプが出てくるようだと、レース運びも難しくなるでしょう。

　そして④着が自身が当日版で◎にしていたカズミクラージュ（5番人気）。この馬に関しては短くまとめられないので、詳細は“次走の狙い”で述べたいと思いますが、能力が重賞レベルであることは確かです。一方で4番人気のルージュスエルテは⑪着に敗れましたが、鞍上は馬場を敗因に挙げています。ただ、これまで逃げか追い込みの極端な競馬で好走していたので、流れに乗る競馬への対応も課題として残りますが、普通にスタートが決まった点は収穫といえます。更に2番人気で最後方に沈んだキャプテンシーもスタート直後に他馬と接触していて、鞍上は馬場が影響したのかも、ともコメントしていますから、力負けとは思えません。ラストも無理はしていなかった感じなので、負け過ぎと見るのも危険な気はしますが、この馬は左回りの経験がないので、本番で一変するためには、課題が多くないことも確かです。

text by 五十嵐友二