5月26日(日曜)に東京競馬場で行われた第138回GⅡ目黒記念(芝2500m・4歳以上・ハンデ・晴れ・良馬場)は1番人気に支持されたシュトルーヴェが優勝。管理する美浦・堀宣行調教師、騎乗したJ.モレイラ騎手とも目黒記念は初勝利。シュトルーヴェは北海道安平町追分ファームの生産馬。馬主は村木克子さん。
それでは、レースを振り返っていきましょう。
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【展開・ペース】 大方の予想通りケイアイサンデラが先手を主張すると他馬は折り合いを優先して、前半は後続を離しての逃げ。1000m通過61秒8は同じ日のダービーよりは0秒4速いですが、途中に13秒0のラップの箇所もあり、古馬のGⅡとしては超のつくスローペース。3コーナー手前あたりから2番手以降が追い上げ、馬群が凝縮した時にもペースは上がっておらず、ラストの3ハロンは11秒2~11秒4のラップが続く典型的な瞬発力勝負となりました。
【レース分析】 勝ったシュトルーヴェ(1番人気)は近走と違い、ほぼ互角のスタートを切りましたが、鞍上は軽く促した程度で後方のインにつける形。その後も折り合いは実にスムーズで、鞍上がゴーサインを出したのは直線に入って、外に持ち出した残り2ハロンの標識を過ぎるあたりから。道中のレース運び、外に出てからも馬群の縁ぴったりで追い出す、まったく無駄のない立ち回りに馬も応え、鋭い末脚を披露して一気に前を捉えました。
「レース全体のペースが遅めでしたが、後ろはのポジションで我慢する形になりました。それでも、直線では素晴らしい瞬発力を見せてくれました。これで3連勝になりましたが、別々の騎手が乗ってのもの。今日は更に成長してくれそうな内容でしたし、もっとステップアップできそうです」とレース後にJ.モレイラ騎手はコメント。11Rの日本ダービーと違い、勝負どころから馬群が密集し、必ずしもイン有利とはいえない状況になったことも確かですが、テン乗りで、これまで以上の鋭い決め手(推定上がり32秒9は自己最速)を引き出した鞍上の手腕には脱帽ですし、馬自身も去勢後は3戦全勝ですから、完全に本格化している様子。名手が更なる成長も予言したとなれば、今後がますます楽しみになりました。
②着のシュヴァリエローズ(10番人気)は私見になりますが、調教VTRで動きが良く映り、自分が最後に△をつけていた馬。積極的に好位をキープすると、直線ではすぐ前にいた⑧着馬より先に鞍上の手が動きましたが、最後まで渋太く伸びて連対を確保。②着争いに競り勝ったのは並んでいた③④着馬との斤量差もあるでしょうが、追い比べで根性を発揮したようですから、勝ち馬とも馬体が併せる形になっていれば、との見方もできます。いずれにしても6歳ですが、力をつけていることは確かでしょう。③着が2番人気のクロミナンス。終始、②着馬をマークするような立ち回りから、鞍上が追い出すタイミングも完璧に見えましたが、少しエンジンのかかりが遅かったのは前走の日経賞②着時と同じ。それでも最後までしっかり脚を伸ばしていましたし、展開や斤量面などを考慮しても、上々の内容といえます。
④着サトノグランツ(3番人気)はスローペースを見越して、内枠を生かして積極的な立ち回り。直線も一旦、先頭に立ちかけて、ゴール前で脚勢が鈍ったのは海外遠征帰りだった影響や、東京コースの2500mは若干、長かった可能性も考えられますが、着差からもGⅡなら常に上位を争える地力は示したといえます。他では一団の競馬で馬群を捌くのに手間取りながら伸びていた⑦着ヒートオンビート、自分が◎にしていてスタートがアオり気味、直線も内で前が詰まっていた⑫着ジューンアヲニヨシあたりは、次走以降で見直しが必要でしょう。とにかく勝ち馬から⑫着馬までの着差が0秒6ですから、掲示板を外している馬でも着順を鵜呑みにはしない方がいいというのが、先に向けて覚えておきたいところです。
text by 五十嵐 友二
※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。