7月13日(土曜)に函館競馬場で行われた第56回GⅢ函館2歳S(芝1200m・2歳・馬齢重量・晴れ・良馬場)は1番人気に支持されたサトノカルナバルが優勝。管理する美浦・堀宜行調教師は函館2歳Sは初勝利。騎乗した佐々木大輔騎手はJRA重賞初制覇となった。サトノカルナバルは北海道安平町ノーザンファームの生産馬。馬主は里見治さん。
それでは、レースを振り返っていきましょう。
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【展開・ペース】 開催を通してレース当日に大雨、極端な道悪になることがなかった今年の函館競馬。最終週を迎えても芝は良好な状態でした。過去10年を見ると、良馬場で施行された際は前半3ハロン33秒台は珍しくはなく、馬場も考慮すると今年のペースは表記こそハイペースでも決して速くはありませんでした。結果は4コーナーを4番手以内で回った馬たちが③着までを独占する結末となりました。
【レース分析】 サトノカルナバル(1番人気)は東京で新馬勝ちし、中2週での出走。函館までの輸送もありましたら中間はソフトな調整に終始。当日のパドックでは2人引きでしたが、落ち着いて周回。新馬戦と同様にスラっとした体つき。馬体をキープし、脚捌きに硬さなどもなく、心身ともいい状態で出走してきた印象を持ちました。スローだった新馬戦とは異なり、序盤から速いラップとなりましたが、スタート後に軽く促しただけで流れに乗って4番手を追走。3コーナー付近から上昇を開始し、最後までしっかりと脚を使って逃げ馬を交わしてゴール。コース、距離など初物尽くしだったわけですが、終わってみれば完勝でした。
「調教には1度だけ乗せてもらいました。感触が良くて、いい馬だと感じましたが、見習いの頃からお世話になっている厩舎ですし、調整の方も信頼していました。距離短縮で1200mが初めてでしたから、多少流れに乗せていった分、ハミの取り方が甘くなりましたが、手応えそのものが違いましたからね。こういったチャンスはなかなかないので、しっかりとモノにしたいと思っていただけに、勝つことができて良かったですし、関係者の方々に感謝しています」とレース後に佐々木大輔騎手はコメント。鞍上の佐々木大輔騎手にとっては初めてのJRA重賞勝ち。そして前走が本州の競馬場だった馬の函館2歳S優勝は史上初となる快挙。広い東京から小回りの函館に替わっても、しっかりと能力を出し切ったセンスの良さには脱帽。陣営は短距離向きとジャッジし、北上を決めたとのことですが、サトノカルナバルはマイルまでは難なくこなせそうなレースぶり。過去の函館2歳S優勝馬は暮れのマイルGⅠでは好結果を残せていませんが、サトノカルナバルなら好レースになるのでは、との思いを抱きました。
ニシノラヴァンダ(8番人気)は軽く仕掛けて主導権を握ると、終始、1馬身ほどリードを保って馬群を先導。ストレスなく逃げられましたから直線に向いてからも渋太さを発揮して②着を確保。新馬を勝ってから中3週と十分なレース間隔があったことで馬体重は4キロ増。小柄な分、次走以降は輸送克服が鍵になりそうです。エンドレスサマー(2番人気)は二の脚が速く、スルスルとポジションを上げてインの3番手を確保。デビュー戦が逃げ切り勝ちでしたが、控える形から脚を伸ばせたのは収穫大。まだ体に緩さが残っており、更に良くなってきそうな印象も受けました。
先行勢に有利なレースだっただけに外を回して④着まで追い上げたヤンキーバローズ(5番人気)は立派。デビュー戦でも促して流れに乗せていましたから距離が延びれば更にパフォーマンスが向上する可能性は十分。次走以降も注目したいですね。カルプスペルシュ(4番人気)は直線に向いてからジワジワと脚を伸ばして⑤着。新馬戦ほど切れる脚は使えませんでした。時計の出やすい軽い芝で今一度、どんな走りをするのか見てみたいところです。私が期待したエメラヴィ(3番人気)は⑩着。「左へモタれる癖が、より強くなっていました。向正面から口がロックされて、いい立ち回りができませんでしたね。今日は参考外です」と騎乗した横山武史騎手。デビュー前に調教で見せていた外へ張る面が今回は実戦で出た形。その分、コーナーで滑らかに加速することができなかったようです。ただ、新馬勝ちの内容は良く、人気が落ちることが予想される次走での巻き返しに期待しています。
text by 藤原 有貴
※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。