9月8日(日曜)に中山競馬場で行われたサマーマイルシリーズ第4戦、第69回GⅢ京成杯オータムハンデ(芝1600m・3歳以上・ハンデ・晴れ・良馬場)は1番人気に支持されたアスコリピチェーノが優勝。管理する美浦・黒岩陽一調教師は京成杯オータムハンデは初勝利。騎乗したC.ルメール騎手は2勝目となった。アスコリピチェーノは北海道安平町ノーザンファームの生産馬。馬主は(有)サンデーレーシング。
それでは、レースを振り返っていきましょう。
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【展開・ペース】 絶好の馬場コンディション。土曜日の紫苑Sでは1.56.6のコースレコードが飛び出し、日曜日の新馬戦は1.32.8の2歳コースレコードでの決着。そんな中で行われた京成杯オータムハンデは、前半4ハロン45.6→後半4ハロン45.2=勝ちタイムは1.30.8。オーキッドロマンスが抜群のダッシュ力で先手を奪い、セルバーグが控えたことで隊列がすぐ決まり、平均ペース。トロワゼトワルが押し切った2019年が44.2→46.1=1.30.3でしたから、今年は当時より緩い流れの分、全体の走破時計はレコードに及ばず。ただ、その展開を外から力でねじ伏せたアスコリピチェーノは圧巻の勝ちっぷりでした。
【レース分析】 アスコリピチェーノ(1番人気)は馬体重の数字こそ変わっていませんでしたが、筋肉が盛り上がり、体つきにメリハリが出てきましたね。落ち着きもあり、いい仕上がりに映りました。中団の外で脚をため、4コーナー手前からジワリと進出を開始。直線に向く時の手応えは抜群で、鮮やかに差し切って完勝といえる内容でした。3歳牝馬が55.5キロを背負ってこのパフォーマンス。さすがGⅠホース。能力が違いました。
「ここでは一番強い馬なので、今日は安全に乗りました。前に行くスピードが足りなくてミドルポジションの後ろからになりましたが、慌てずに外から段々とポジションを上げていって、直線は大きなスペースでいい脚を使いました。落ち着きが出て乗りやすくなったので距離が延びてもいいパフォーマンスができると思いますが、マイルで凄くいい脚を使う馬で、まだGⅠを勝てます」とレース後にC.ルメール騎手はコメント。NHKマイルCは不運が重なって②着。その鬱憤を晴らすような快勝劇でした。古馬を一蹴し、次走はオーストラリアに遠征するプランも発表に。海の向こうでも好結果を残せるのか注目が集まります。
▲アスコリピチェーノの4代血統表
タイムトゥヘヴン(14番人気)はパドックでよく見えるタイプですが、6歳を迎えても気力の衰えがなく、キビキビと活気あふれる周回。スタートで後手を踏み、後方2番手を追走。結果的に勝ち馬が強いレースをした分、前に行った組が厳しくなったこと。また直線で馬群が密集し、外をスムーズに追い上げられたことも好走の要因と考えられます。一昨年はGⅢを勝っているように中山マイルも向いていますね。サンライズロナウド(3番人気)は1度使ってもテンションが上がらず、心肺機能が良くなって馬体の張りは抜群。上積みは十分でした。馬場傾向を踏まえ、3番手のインを確保したあたりは、さすが横山典騎手という騎乗。ただ、今日に関しては勝ち馬が別格でした。
セルバーグ(9番人気)は相変わらずうるさい面を見せていましたが、こういった気性ですし、テンションの高さは許容範囲内。まだまだ気温も高く、発汗も仕方ありません。揉まれない形なら控えても、しっかりと力を発揮できましたね。見せ場十分の④着でした。脚質に幅が出た点で収穫がありました。ジューンオレンジ(10番人気)は脚捌きが硬めなのはいつものこと。活気は十分でした。タイムトゥヘヴンと同様に、馬群が密集する中で、外をスムーズに追い上げて⑤着。距離を延ばすなど試行錯誤を続けていますが、まだ4歳でコツコツと地力をつけてきている印象です。
text by 京増 真臣
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