12月28日(土曜)に中山競馬場で行われた第41回GⅠホープフルS(芝2000m・2歳・馬齢重量・晴れ・良馬場)は1番人気に支持されたクロワデュノールが優勝。管理する栗東・斉藤崇史調教師は当レースは2勝目。騎乗した北村友一騎手は初勝利となった。クロワデュノールは北海道安平町ノーザンファームの生産馬。馬主は(有)サンデーレーシング。
それでは、レースを振り返っていきましょう。
▲レース動画はコチラをクリック
【展開・ペース】 ジュンアサヒソラが軽く仕掛けてハナを奪い、ジェットマグナムが2番手を確保。隊列が決まるとグッとラップが落ちて中緩みのペースに。これを嫌ったのが後方を進んでいたファウストラーゼン。残り1000m付近から一気にポジションを上げると、捲り切って先頭へ。ここでペースが上がり、残り4ハロンのラップはすべて11秒台。スピードの持続力が問われました。
【レース分析】 クロワデュノール(1番人気)はマイナス8キロで出走。東京スポーツ杯2歳Sの当時より体が引き締まり、上積みが感じられました。スタートを決め、道中は7番手を追走。ペースが緩んだ区間でも掛かることなく上手に折り合って進出の機を窺います。強調したいのはファウストラーゼンが仕掛けたところ。急激なペースUPにも自然体で対応すると後続を待たずにポジションを上げていきました。圧倒的な1番人気らしい勝利を意識した立ち回り。多少、早く動いても勝てる、そんな鞍上の自信も垣間見えたように感じました。4コーナーでは先頭から3馬身ほど差がありましたが、ラスト1ハロンで粘るファウストラーゼンを捉えると、坂を上がってから引き離し、➁着ジョバンニに2馬身差をつけて完勝。序盤から包まれるのを避けるため外めを進んでいた点を考慮するとGⅠのメンバーに入っても能力が一枚上だったと見ていいでしょう。
「これまでの2戦とは違って多頭数になっていたので、1コーナーでの入りや勝負どころでの立ち回りなど、難しさがあったと思います。それでも、ジョッキーが馬の力を信じてうまく誘導してくれましたし、ここでやってほしいことはすべてやってくれていました。来年は皐月賞、ダービーを使う予定でいますが、中山の2000mで結果を出せたことによって胸を張ってそこに臨めますね。また、この馬の強みである心肺機能に磨きをかけていきたいです」とレース後に斉藤崇史調教師はコメント。奇しくもこの日の10RはコントレイルC。クロワデュノールの立ち回り、勝ちっぷりはコントレイルが勝ったホープフルSを彷彿とさせるもの。順調であればここを足掛かりに更にGⅠタイトルを積み重ねていくことが期待できる素材です。
本紙予想で本命に推したジョバンニ(6番人気)は関東圏へ輸送しても落ち着きがあって気配は良好。スタートは決して速くありませんでしたが、すぐにリカバリーして中団のインを追走。4コーナーではスムーズに進路を確保できました。しっかり脚が溜まっていましたから鋭く伸びたものの、勝ち馬に肉薄するまでには至らず。それでも、上手にロスを抑えて立ち回れたのは来年に向けて大きな収穫だったはずです。ファウストラーゼン(17番人気)は今回からブリンカーを装着。発走後に挟まれてしまい、後方に陣取る形に。向正面で一気にポジションを上げ、逃げていたジュンアサヒノソラと2頭で後続を離して直線へ。坂を上がっても極端に伸びは鈍らず、③着を確保。ためらわずに動いた鞍上の勇気は称賛されるべきものですし、モズアスコットの産駒ですから、適度に荒れて力のいる馬場だったのも良かったように感じました。
ジュタ(8番人気)は見栄えのする好馬体が目立っていましたね。うまく流れに乗って好位を追走。3~4コーナーでは勝ち馬を追うようにして進出し、④着まで押し上げました。キャリア1戦で臨んだ点を考えると内容は素晴らしく、この馬も来年が楽しみです。⑤着に食い込んだのはクラウディアイ(13番人気)。小柄ですが、馬体をキープできていたのは良かったですし、手応えに余裕はありませんでしたが、ジワジワと脚を伸ばしました。前走はジョバンニと同じ京都2歳Sだったわけですが、この2頭を負かしたエリキングの評価が結果を受けて更に上昇。現在は骨折により休養中ですが、復帰してくればクラシック戦線を賑わせる存在となるのは間違いありません。2番人気に支持されたマジックサンズは行きたがっていた分、脚が溜まらなかった様子。ポテンシャルは高く、課題さえ修正できれば巻き返しは容易です。
text by 京増 真臣
※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。