5月10日(土曜)に東京競馬場で行われた第42回GⅢエプソムカップ(芝1800m・4歳以上・別定・曇り・稍重馬場)は6番人気のセイウンハーデスが優勝。管理する栗東・橋口慎介調教師、騎乗した幸英明騎手とも当レースは初勝利となった。セイウンハーデスは北海道浦河町鮫川啓一さんの生産馬。馬主は西山茂行さん。

 

 

それでは、レースを振り返っていきましょう。

 

 

 

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【展開・ペース】 各馬が互角の発馬から大方の予想通りメイショウチタンがハナを切るかと思われましたが、内枠でスタート後に軽く気合をつけられたシュトラウスが抑えが利かない感じで前に出て1000m通過は57秒3。稍重の馬場状態を考えるとかなり速めの流れでした。その割に後半もラップは落ちず、ペースの分類としては平均になりますが、全体的には差し・追い込み型に向く展開になりました。

 

 

【レース分析】 勝ったセイウンハーデス(6番人気)は約3カ月ぶりの実戦でも体重6キロ減の馬体をすっきりと見せて、中間に意欲的な攻めを消化した効果を窺わせる気配。ゲートが開いた瞬間は少し鼻面が出るくらいの好スタートを決めましたが、先行する馬を前に行かせて、道中は中団の前あたりに位置。勝負どころでは先に動いた⑥着馬を追うようにスパート態勢に入り、鞍上のムチがビシッと入ったのは直線の残り2ハロンあたり。そこから一気に抜け出し、ラスト1ハロンで横に馬がいなくなると内に切れ込む行儀の悪さを見せましたが、後続には付け入る隙を与えない完勝でした。

 

 

「強かったです。あまりに早く抜け出し過ぎて、ジョッキーの方が心配になったくらいです。力はあるんですが、なかなか順調にいかないところもあって、1年以上の休みもありましたが、それでも今日は強かったですね。力のあるところを見せてくれましたし、厩舎がしっかりと仕上げてくれて、仕上がりも良かったです。休んでから結果が出ていなかったので今回が試金石だと思っていましたが、しっかりと走ってくれましたとレース後に幸英明騎手はコメント。本紙、そして自分も紙面で◎にしていて、見事に期待に応えてくれました。今の東京芝は馬場が回復基調になれば時計は速いので、レコードタイム自体はそれほど強調はできませんが、逆に言うと戦前は道悪を苦にしない点を高く評価していたので、いい意味で予想を覆される走り。特筆すべきは抜け出す時の脚の速さで、鞍上の言うとおり、とにかく強かったです。今後の進路は分かりませんが、順調ならGⅠでもと思わせるくらいの勝ちっぷりでした。

 

セイウンハーデス4代血統表

 

②着ドゥラドーレス(1番人気)はスタートで後手を踏みましたが、今日は結果的に展開が味方する形に。鞍上もさすがと思わせる進路取りでロスを極力、少なくし、馬群の中からしっかりと伸びて連対を確保しました。自分は前走の勝ち時計が平凡なので△に印を下げていましたが、この内容なら勝ち馬と同様、1年を超えるブランクがありながら、使いつつ良化が進んでいると見ていいでしょう。③着トーセンリョウ(10人気)も流れが向いて、差し込んできての好走と言えますが、この馬に△をつけていたのは前走も外に持ち出す競馬ができていれば、ここにも出走していた当時の勝ち馬とも差はなかったはず、と考えたから。やはり末脚の鋭さ、瞬発力は重賞でも通用するレベルにあります。

 

 

そして今後に向けて注目したいのが④着のクルゼイロドスル(4番人気)で、パンパンの良馬場なら本命でも、と思いながら印は▲。今回は鞍上も積極的な立ち回りを考えていたようで、ここ数戦よりは前で運ぶ形に。馬群の内から弾けなかったのは近走とは違う位置取りだったせいか、馬場の影響なのかは分かりませんが、陣営も重賞獲りへの手応えは改めて掴めたはずです。次走もマイルから1800mで、時計勝負の馬場なら期待が膨らみますね。⑤着コントラポスト(8番人気)も④着馬と近い位置から最後までジワジワと伸びており、レースぶりの価値としては前回のダービー卿CT②着と遜色のないもの。コースが不問なことも確認できました。2番人気で⑥着に終わったダノンエアズロックは勝ち馬のすぐ前にいて、直線を向いた時の手応えはこちらの方がいいくらいでしたが、伸び切れなかったのは結果的に外を回って速い流れを追いかけたこと、半年近い休養明けでタフな展開になったことの影響が考えられます。それでも②着とは0秒5差ですから、能力の片鱗は示したと評価した方が良さそうです。

 

 

 

text by 五十嵐 友二

 

 

  

※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。

 

 

 

 

 

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