8月3日(日曜)に札幌競馬場で行われた第73回GⅢクイーンS(芝1800m・3歳以上・牝馬・別定・晴れ・良馬場)は1番人気に支持されたアルジーヌが優勝。管理する栗東・中内田充正調教師、騎乗した川田将雅騎手は2019年にミッキーチャームで制しており、当レースは通算2勝目となった。アルジーヌは北海道新ひだか町ケイアイファームの生産馬。馬主は(株)ロードホースクラブ。
それでは、レースを振り返っていきましょう。
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【展開・ペース】 好スタートを決めたコンクシェルが気合をつけてハナを主張すると、外のアリスヴェリテ、フィールシンパシーは無理に競ることはせず、2~3番手を追走する形。それでも、3ハロン目から11秒後半のラップが続いたようにペースが緩んだところはなく、好タイムが出ている今の札幌芝コースとしても、かなりタイトな流れ。全体的には差し有利、地力も求められるような展開になりました。
【レース分析】 勝ったアルジーヌ(1番人気)は今年に入ってから体重が460キロ前後で安定していて、今回も順調に仕上がったという印象。レースも互角のスタートから難なく中団の位置をキープし、前が縦長の形になったこともあり、折り合いも非常にスムーズでした。3コーナーで鞍上が仕掛け始めた時の反応も良く、直線入り口では先行集団の一番、外に並びかける形。そこからも力強く伸びて最後まで脚勢は乱れず、内を捌いてきた②着馬の追撃も振り切りました。
「(前回と)比較はできませんが、とてもいい雰囲気で競馬を迎えられました。(最後に)気を抜くところがあるので、それを踏まえてセーフティーリードを取っておきました。1コーナーまでの走りもスムーズでしたし、あとは気持ち良く競馬をするだけでした。道中もリズム良く走れましたし、GⅠでも好走していた馬ですから、しっかり重賞を勝ち切ってくれました。ここを勝つために準備をしてきて、それで(期待に応えて)勝てたことを褒めてあげたいです」とレース後に川田将雅騎手はコメント。前が飛ばす形でスムーズな競馬ができたことが第一の勝因でしょうが、②着馬より1キロ重い斤量、馬群の外へ持ち出すコース取りを考えれば、着差以上に強い内容であることは明白。また、冷静沈着な鞍上に迷わず外を回る選択をさせるくらい、馬も充実しているということでしょう。まだ、1600~1800mしか使われたことがない馬ですから、今後は距離を含めて、どのような路線に向かうのかも、注目したいところです。
▲アルジーヌの4代血統表
②着ココナッツブラウン(2番人気)は僅かにスタートでアオり気味でしたが、もともと先行するタイプではなく、道中は後方で折り合いに専念。直線では勝ち馬と対照的に馬群の最内を突き、少し前が詰まって追い出しを待たされましたが、進路が開いてからは目を引く伸び。アタマ差まで迫ったところがゴールでした。前をスムーズに捌けていればと思う反面、身上の決め手を生かすには理想的な展開になりましたし、20キロ増の体重が示すように滞在競馬に替わった効果も十分。以前より末脚の鋭さを増していることは確かですから、次走以降は輸送競馬だと、当日の気配がポイントになりそうです。③着フェアエールング(4番人気)は好枠を生かして、近走よりは積極的な立ち回り。レース運びとしては上位の2頭よりも上手で、最後に交わされたのは展開のアヤと、地力の差でしょうか。それでも、今回は1800mへの対応が鍵と見ていましたから、好位から馬券圏内を確保は収穫のある内容。札幌コースとの相性の良さも改めて感じました。
④着ライラック(10番人気)は展開、⑤着パレハ(8番人気)は最内枠が味方しての健闘といえますが、前者は過去の実績の裏付け、後者は上昇中の勢いもありますから、上位馬と勝負付けが済んだとは言い切れません。これはスタートの出遅れや枠順の差があって、自分の形、ペースでレースができなかった⑧着アリスヴェリテ(6番人気)、⑨着クリスマスパレード(5番人気)、⑩着レーゼドラマ(3番人気)にも言えることです。特に自分が◎にしていたレーゼドラマは現状、脆さが同居している様子で、今回は馬込みの中の競馬になってキャリアの浅さも出た感が。揉まれない位置から自分で動く形になれば、一変があっても不思議はないと考えています。
text by 五十嵐 友二
※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。