8月9日(土曜)に札幌競馬場で行われた第30回GⅢエルムS(ダ1700m・3歳以上・別定・晴れ・稍重馬場)は5番人気に支持されたペリエールが優勝。管理する美浦・黒岩陽一調教師は当レースは2勝目。騎乗した佐々木大輔騎手は初勝利となった。ペリエールは北海道新ひだか町チャンピオンズファームの生産馬。馬主は長谷川祐司さん。
それでは、レースを振り返っていきましょう。
▲レース動画はコチラをクリック
【展開・ペース】 大外枠のウィリアムバローズは59キロを背負っていたこともあり、ダッシュが今ひとつでしたが、内のテーオードレフォン、ヴァルツーシャルなども逃げる気はなかったようで、1コーナーに入る時にはウィリアムバローズが行き切る形。そこからは流れも落ち着き、ペースアップしたのは3コーナーの手前あたりから。ここまでに好位を確保していないと、勝ち負けに持ち込むのは難しい展開になりました。
【レース分析】 勝ったペリエール(5番人気)は互角のスタートからすぐに先行勢の直後のインにポジションを取り、終始、前を見る形で手応えは十分。ペースアップした時も鞍上の手は動かず、しかも前に離されない理想的な形に。直線を向くと逃げた④着馬のすぐ横に進路を取り、力強く抜け出すと、そのままの勢いでゴールまで駆け抜けました。
「1コーナーから出していくつもりでしたが、オアシスSの時にモタれ方がキツかったので、バランス良く走らせるように務めました。追い切り(の動き)から小回りは上手だと思っていましたし、それが(前走の)函館、札幌で生きました。ストロングポイントが見つかりましたし、僕も札幌では重賞を多く勝たせてもらっているので、リラックスして臨めたことも良かったですね」とレース後に佐々木大輔騎手はコメント。鞍上は馬の操縦性の高さを強調していましたが、最内枠を完璧に生かしたエスコートも見事の一語。翌日にも中京で重賞勝ちと、勢いのある若手らしい手綱捌きが冴えていますね。馬も3歳時には東京1600mのユニコーンSを好時計で勝っていますが、今は1周競馬の中距離がベストな様子。勿論、もともと資質は高い馬ですし、広いコースが駄目ということもありません。あの立ち回りなら今後は地方の交流重賞を含めて、様々な舞台で活躍が期待できそうです。
▲ペリエールの4代血統表
②着ロードクロンヌ(1番人気)は、序盤は中団で動きやすい馬群の外めにつけ、発馬で躓いたトロヴァトーレ(⑫着)が向正面で早めにスパートすると、それを追うように進出を開始。3コーナー過ぎから内の勝ち馬と並ぶ形になって一緒に追い上げ、最後は突き放されました。それでも、追い出しを待っていた相手とはコース取りの差もありましたし、2馬身半の着差ほど力の開きはない印象。重賞だと、もうワンパンチの感じが出てきましたが、それも仕掛け方ひとつで補える範囲でしょう。③着ミッキーヌチバナ(10番人気)は自在型ですが、スタートで出遅れた今回は待機策。一団の内で少し仕掛けが遅れ、直線を向いたところで外に膨れて⑥着馬を弾く事象もありましたが、自身はそこからもしっかり伸びてきました。安定度は高くなく、今回は結果的に道中で脚もたまった感じはありますが、展開が向いていないのに馬券圏内に食い込んだことも事実。重賞でも上位を争える能力があることは確かですね。
④着ウィリアムバローズ(8番人気)は自分の形に持ち込めたものの、枠順と斤量も影響して序盤に脚を使っており、内容的には上々。先行力がモノを言う設定になれば、巻き返しは必至でしょう。当レースの連覇を目指したペイシャエスは(7番人気)は⑤着。体重増による緩さ、脚捌きの硬さを感じた鞍上が末脚勝負を選択したようで、追い上げてきた際には勢いもありましたが、ゴール前で脚勢が鈍ったのはレース後に発表された鼻出血の影響もあったのでしょうか。⑥着のブライアンセンス(6番人気)は直線での不利、勝ち馬の後ろからロスなく運んで伸び切れなかった⑦着ドゥラエレーデ(2番人気)は発馬直後に落鉄を鞍上が敗因に挙げており、こちらも力負けではありませんね。また、自分が◎にしていた⑭着マテンロウスカイ(3番人気)はスタートが今ひとつでレースの流れに乗れず、向正面で追い上げを図ったときも脚が続きませんでした。6歳馬の休み明けで状態が今ひとつだったのか、小回りの1700mは勝手が違ったのか、大敗を喫した要因は、はっきりとは分かりませんが、マーチS②着の内容からダート適性が高いことは確かですし、次走も簡単には評価を下げない方がいいと考えています。
text by 五十嵐 友二
※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。