12月6日(土曜)に中山競馬場で行われた第59回GⅡステイヤーズS(芝3600m・3歳以上・別定・晴れ・良馬場)は2番人気に支持されたホーエリートが優勝。管理する美浦・田島俊明調教師、騎乗した戸崎圭太騎手ともにステイヤーズSは初勝利。ホーエリートは北海道白老町白老ファームの生産馬。馬主は吉田晴哉さん。
それでは、レースを振り返っていきましょう。

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【展開・ペース】 大方の予想通りピュアキアンがハナに立って最初の1000mは64秒7。その後も淡々とレースが推移し、ペースが上がったのは残り7ハロンを過ぎるあたりから。最後の4ハロンはすべて11秒台ですから馬群の外を回った差し馬は分が悪く、好位か内めで運べる機動力、速い上がりに対応できる瞬発力が求められる展開になりました。


【レース分析】 勝ったホーエリート(2番人気)はアルゼンチン共和国杯から中3週で体重は6キロ減。馬体をすっきりと見せて、気配は前回よりも良く映りました。スタートを決めるとスッと好位のインにつけて、道中の折り合いも非常にスムーズ。まったくロスのない競馬でしたし、勝負どころでも先に動いた⑫④着馬の後ろで手応えは十分。最後の直線入り口で後続の仕掛けに合わせてスパート態勢に入り、しっかりと伸びてゴール前で抜け出しました。
「最近はスタートも出てくれるので、ポジションは取れると思っていましたし、いい位置で競馬ができました。道中もリズム良く折り合いがつき、いい手応えで走ってくれました。最後の直線も、進路のどこが開くかな、と考えられるくらい余裕がありましたし、追ってからもしっかり反応して、伸びてくれました。重賞でも惜しい競馬が続いていましたし、ここで勝つことができて良かったです」と戸崎騎手はレース後にコメント。ラストに伸び切れず、少し歯痒い感じだった前走⑥着の鬱憤を晴らすかのような勝ちっぷりで、やはり機動力、操縦性の高さを生かせる中山コースはベストの印象。母父がステイゴールドの血筋から長距離も合っており、今後の展望、方向性が開ける一戦になったかもしれませんね。

▲ホーエリートの4代血統表
②着のマイネルカンパーナ(5番人気)も勝ち馬をマークするような立ち回りから、仕掛けるタイミングはこちらの方が若干、早め。最後は牝馬と切れ味の差が出た印象ですが、持ち味の渋太さは生かし切りました。重賞を勝つには決め手強化が課題でも、長い距離なら展開や馬場状態などで、補える範囲といえるでしょう。③着クロミナンス(1番人気)は中団のインで折り合って初めての距離に対応。手応え良く勝ち馬の直後まで追い上げてきた時には、さすがはルメール騎手と思わせましたが、そこから進路がなく、十分に追えず脚を余す格好に。結果は不完全燃焼でも開幕週の馬場を考えれば、勝負どころから内を突く選択は当然ですし、この馬も長距離への適性が感じられました。
そして惜しかったのが④着のブレイヴロッカー(7番人気)で、上位馬よりも一歩早いタイミングでの仕掛けは、レースの流れを考えれば好判断といえるもの。最後に詰めを欠いたのは本質的な距離適性の差かもしれませんが、鞍上が初騎乗だった分もあるでしょう。次走以降も今回と同レベルのメンバー構成なら、マークしておきたいですね。一方、自分が◎にしたヴェルミゼル(3番人気)は⑧着。京都大賞典③着時は馬群の内を突いていたので、外枠になった今回は枠順の差が出た感じでしたが、2番人気で⑧着に敗れたL競走・札幌日経賞でも感じた、評価が上がるとアテにしにくい部分が、今回も出てしまったような気がします。どうも掴みづらいタイプですが、逆に言えば人気を落としていた時が狙い目なのかもしれません。
text by 五十嵐 友二

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