かわいい子には旅をさせろ

 2017年12月10日(日)5回中山4日目11R第10回カペラステークス(GⅢ)は、単勝4番人気に支持されたディオスコリダー(父カネヒキリ×母エリモトゥデイ)が優勝。カネヒキリ産駒はロンドンタウンが勝ったエルムSに続くJRA重賞2勝目。管理するのは高橋義忠調教師。騎乗した津村騎手は初騎乗でしたが、しっかり結果を出しました。

 さて、ディオスコリダーはこの春、ドバイへ遠征し、GⅠゴールデンシャヒーンに出走。結果は⑪着でしたが、3歳の身で屈強な古馬たちと一緒に走った経験がその後の飛躍につながった気がしてなりません。そこで、近年、3歳でドバイミーティングのレースに出走した馬たちをまとめてみました。

 

06年 フラムドパシオン(UAEダービー③着)

07年 ビクトリーテツニー(UAEダービー⑤着)

08年 イイデケンシン(UAEダービー⑧着)

11年 レーザーバレット(UAEダービー⑨着)

12年 ゲンテン(UAEダービー⑭着)

13年 ケイアイレオーネ(UAEダービー⑩着)

15年 ゴールデンバローズ(UAEダービー③着)、タップザット(UAEダービー⑤着)、ディアドムス(UAEダービー⑧着)

16年 ラニ(UAEダービー①着)、ユウチェンジ(UAEダービー③着)、オンザロックス(UAEダービー⑤着)

17年 エピカリス(UAEダービー②着)、アディラート(UAEダービー⑫着)、ディオスコリダー(ドバイゴールデンシャヒーン⑪着)

 ほとんどの馬がUAEダービーに出走している中、古馬に挑んだディオスコリダーの遠征がいかに異例だったのかがよく分かりますね。挙げた中には“早熟”だった馬もいますが、ビクトリーテツニーは第1回カペラSを制し、11年レーザーバレットは長期ブランクがありながらもここまで重賞3勝。更にケイアイレオーネは3歳秋にシリウスSを勝って、現在は公営・南関東に籍を移して重賞制覇。力をつけて息の長い活躍を見せており、ディオスコリダーの今後の走りにも注目したいところです。

それでは京増TMにレースを振り返ってもらいましょう。

 

【パドック】 

 ディオスコリダーは相変わらずテンションが高めでしたが、レースに支障が出るほどではなく我慢はできていました。9歳馬のスノードラゴンは、淡々と落ち着き払っていて荒々しい感じのディオスコリダーとは対照的でした。

 

勝ち時計 1分11秒0(晴れ・良)

前・後半3F 34秒0 37秒0

12.0 – 10.8 – 11.2 – 12.1 – 12.1 – 12.8

 

【展開・ペース】

 好スタートを決めたドラゴンゲートが同型を制してハナを切ると、そこにナンチンノンコーリンベリーサイタスリーレッドが並びかけて4頭雁行。前半3F通過34秒0は、重賞にしては遅い流れでしたが、競り合った分だけ先頭グループにはキツい展開になりました。

直線半ばで抜け出したディオスコリダーに鋭く伸びてスノードラゴンが襲いかかる!

【レース分析】

 直線に向いて先行勢の脚いろが鈍る中、2列目の外にディオスコリダー、その後ろの外にスノードラゴン。互いに道中は外を回るコースロスがありましたが、スムーズに運べた8枠2頭がワンツー。ディオスコリダーは本格化ムードが感じられますが、積極的に運んだ津村騎手の好騎乗も光りました。

「力があると思っていたので強気に乗りました。理想的なポジションにつけることができました。テンションが高く、パワーもある馬ですが、レースに行くとしっかり走ってくれます。3歳で古馬を倒したんですから強い馬だと思います」と津村騎手。ちょうどカペラSは今回で10回目。出走頭数が少ないとはいえ、3歳による優勝は初めてのこと。ダート短距離界に新星が誕生しました。

ディオスコリダーの4代血統表

 ②着はGⅠホースで今年のスプリンターズSでも④着と健在ぶりをアピールしていたスノードラゴン。大野騎手は「58キロを背負っていましたが、手応え良く回ってこられました。上手に手前を替えてくれたし、直線はいつもの勢いがありました」とコメント。勝ち馬とは3キロの斤量差がありながら0秒1差。出走メンバー中、2番目に速い上がり3Fをマークして追い上げた点は評価できます。

 ③着ブルドッグボス直線入り口でスノードラゴンに外から被せられて、ワンテンポ仕掛けが遅れたことが応えましたね。スムーズに運べていれば、上位2頭にもっと肉薄できたはずです。

 text by 京増 真臣/構成・藤原

 

 

 ※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。

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