競馬 研究ニュース

第55回弥生賞 回顧

2歳チャンプから真の王者へ

 

 2018年3月4日(日)2回中山4日目11R第55回弥生賞(GⅡ)は単勝1番人気に支持されたダノンプレミアム(父ディープインパクト×母インディアナギャル)が優勝。無敗のディープインパクト産駒3頭の激突は終わってみれば2歳王者の完勝でしたね。管理するのは中内田充正調教師。鞍上はデビューから手綱を取り続けている川田将雅騎手。無敗のまま皐月賞を制したのは05年ディープインパクトを最後に出現しておらず、また朝日杯FS優勝馬による土付かずでの皐月賞勝利となると92年ミホノブルボン(当時は朝日杯3歳S)以来の快挙となるだけに注目が集まります。

 

パドックでのダノンプレミアム<Photo byゆうくん>

 

それではレースを京増TMに振り返ってもらいましょう。

 

勝ち時計 2分01秒0(晴・良)

前半3F → 中盤4F → 後半3F 36秒0 → 50秒7  34秒3

12.5 – 11.0 – 12.5 – 12.8 – 12.7 – 12.4 – 12.8 – 11.7 – 11.0 – 11.6

【展開・ペース】

 レースはスタート直後に8枠のサンリヴァルダノンプレミアムが前へ。一旦、雁行状態になったものの、外のサンリヴァルがハナを奪い、ダノンプレミアムは2番手。サンリヴァルは後続を離して逃げる形にはなりましたが、前半1000m通過は61秒5のスローペース。ダノンプレミアムはそんな遅い流れでも折り合って運べていました。

 

【レース分析】

 ダノンプレミアムはパドックで少しテンションが上がっていましたが、ディープインパクト産駒は気性の勝ったタイプが多いので、この程度なら許容範囲でしょう。残り800m標識を過ぎたあたりから逃げるサンリヴァルとの差を詰め、4コーナーでは意識して馬場のいい外目に進路を取る余裕がありました。直線に入ると軽々と抜け出して、1と1/2馬身という着差以上に強さを感じさせる勝ちっぷり。関東圏への輸送、折り合い、距離など当面の課題もクリア。プラス8キロと先を見据えた仕上げでこれだけのパフォーマンスを見せられるんですから大したもの。同じ舞台で行われる皐月賞制覇はほぼ確実と言っていいでしょう。

「無事にレースを終えられて良かったです。3~4コーナーの馬場状態が良くないので、足元のことも考え、馬場を選びながらあの位置を通りました。間隔を取っていたのですが、走りたい気持ちが強く出た瞬間もありました。それでも、コーナー4回のコースに対応し、2000mもこなしてくれました。気持ちが前向き過ぎるところが出ていたので、次に向けてそこが抜けてくれればいいですね。皐月賞を楽しみにしてもらえればと思います」と川田騎手。勝って兜の緒を締めよ。次のクラシック1冠目に向けてまったく気の緩みが感じられないコメントでした。無敵の快進撃はどこまで続くのか。春の牡馬クラシック戦線はこの馬を中心に進行して行きます。

 

ダノンプレミアムの4代血統表

 

 ワグネリアンは中団でジックリと脚をタメながら追走。残り600m付近から動き、末脚を生かしてメンバー最速の上がりをマーク。ゴール寸前でサンリヴァルを交わして②着を確保しました。本番の皐月賞でダノンプレミアムがハイペースに巻き込まるようなことがあれば逆転の目はあるかも知れませんが、現時点の評価は次位争いの筆頭というところでしょうか

 ③着ジャンダルム、④着サンリヴァルはホープフルSで②④着ですから、朝日杯FS>ホープフルSという図式でしょうか。まだスプリングS、毎日杯が残っていますが、この弥生賞で勢力図がハッキリした印象です。

 オブセッションはパドックでは落ち着きがあって堂々と周回。ただ、レースでは4コーナー、直線入り口で2度も外に大きく膨れてしまいました。「返し馬で4コーナーの先にある待避所に馬を入れました。それを覚えていてレースでも待避所を見つけたらそこに向かっていこうとして膨れてしまいました。まだ気性面で幼さがありますね」とルメール騎手。今回に関してはキャリアの浅さを露呈した形。参考外と考えていいでしょう。

text by 京増真臣/構成 藤原

 

 

  

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