1:22.1(12.4 – 11.1 – 11.4 – 11.7 – 11.8 – 11.7 – 12.0)

 例年はハイペースの消耗戦になりやすいのですが、今年のテン3ハロン34秒9は、2013年と並んで過去10年で最も遅い数字。この日はメインレースが行われる頃には良馬場まで回復しましたが、稍重でスタートして、確かに時計がかかっていました。それでも、逃げたモズスーパーフレアが後続を引き離す形でしたし、ユッタリとした入りで、後半部分もそれほど落ち込まず、やはり前でレースを運べた方が有利だったでしょう。前週の金鯱賞もそうでしたが、馬場は内外フラットなのでスムーズなら内を通った馬が有利な馬場でもありました。勝ったミスターメロディは今回が初めての芝レースでしたが、緩いペースとあって抑えるのに苦労するぐらい。内から3列目、好位の後ろで運んで、直線はキッチリと抜け出してきました。父スキャットダディはフロリダダービーなど米G1を2勝。2015年に11歳の若さで亡くなっていますが、日本でデビューした16頭の産駒のうち11頭が勝ち上がっており、本馬が重賞初勝利となります。血統的に芝でも走れるスピードは備えていました

ミスターメロディ血統表

 2着には7番人気のアサクサゲンキが入って、馬連5,480円の中穴決着。パドックでは最後尾を歩いてテンションを上げないようにしていました。その効果もあってか、「いつもよりレース前に落ち着きがあったし、レースでもスムーズに折り合って運べた」とは武豊騎手。前回のマイルは少し長かったようですが、1400mで我慢が利いていましたね。勝ち馬をやり過ごしてから直線で外に出すと、ジワジワと脚を伸ばしてきました。2頭いた重賞ウイナーの片方。この人気は舐められ過ぎだったかもしれません。

 もう一頭の重賞ウイナーであるフロンティアが3着。道中は内から2列目の中団。直線でアサクサゲンキの外に出してキッチリと脚は使っていましたし、距離が延びた場合は、こちらの方がいいように映りました。これで左回りは3戦2勝、3着1回です。アンブロジオは離れた2番手でレースを進める形。4角でタイセイプライドの進出をやり過ごし、直線はミスターメロディの外へ切り替えてジワジワと盛り返してきましたが、ペースとこの馬の決め手を考えると、もう少し強気にいった方が良かったかもしれません。

 本紙本命で1番人気に支持されたダノンスマッシュは7着。中間はゲート練習をしていたようですが、今回もスタートは今ひとつ。仕上がりは良かったですが、あの位置からでは厳しかったですね。ラスト1ハロンの伸びも案外でした。リズムさえ噛み合えば重賞を勝てる馬だと思いますが……。2番人気のテンクウは8着。4角では最後方のイン。直線で大外近くに持ち出すとグイグイ伸びてきましたが、今日の展開ではここまで。ラスト3ハロン34秒2はレース最速。ダノン同様、力を出し切ったとは言い難いでしょう。

text by 小林 

※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。