3月1日に中山競馬場で行われた第94回GⅡ中山記念(芝1800m・4歳以上・別定)はダノンキングリー(単勝1番人気)が直線で抜け出して優勝。異例の無観客競馬となったが、しっかりとファンの期待に応えた。この勝利により4月5日に阪神競馬場で施行されるGⅠ大阪杯の優先出走権を獲得。GⅠ制覇へ向けて4歳シーズン緒戦で好スタートを決めた。鞍上は前走のGⅠマイルCSに続いて2度目の騎乗となった横山典弘騎手。管理するのは美浦・萩原清調教師。ダノンキングリーは北海道浦河町・三嶋牧場の生産馬。馬主は(株)ダノックス。

 

それでは、レースを振り返っていきましょう。

 

 

【展開・ペース】 これが引退レースとなるマルターズアポジーがハナを叩いて先導。戦前の想定通り、ペースを落とさずにレースを引っ張り、前半1000m通過は59秒3と平均ペース。馬群が縦長になったことで、各ジョッキーのポジション取りが結果的に明暗を分けた

 

【レース分析】 ダノンキングリーはパドック、本馬場入場と3歳だった昨年よりも落ち着きがあった。また馬体重はプラス6キロ。体にも幅が出て心身ともに成長を感じさせた。内目の枠だったが、しっかりスタートを決めると3番手を追走。前走から1ハロンの距離延長となったが、2番手を進むソウルスターリングをムキになって追いかけることなく折り合わせた横山典弘騎手はさすが。ジワッと前との差を詰めて直線に向くと、力強く抜け出し、後続勢の追い上げもシャットアウト。確かに牡馬のGⅠホースとは1キロの斤量差があったが、たとえ、それがなくても今日は負けなかっただろう。

 

ダノンキングリーの4代血統表

 

「行く馬が2頭いましたし、考えていた通りの位置取りでした。直線での手応えも十分。1頭になってフラフラしましたが、それだけ伸びしろがあるということでしょう。今日は嬉しいですが、寂しさもありますね。ファンあっての競馬であることを強く思いました。この馬もGⅠを勝つ力は十分あると思うので、今後の期待が大きいです。なので早くこの事態が終息して大勢のファンの前で勝ちたいですね」横山典弘騎手はコロナウイルス感染拡大の早期終息、ファンへの思いを述べつつ、ダノンキングリーへの期待の大きさを語った。

 

 

 ラッキーライラックは前走から11キロの馬体増。これは優勝したGⅠエリザベス女王杯の時に戻ったもの。パドックでは歩様には勢いがあり、迫力満点の周回だった。レースの形としてはダノンキングリーをマークし、2馬身ほど後ろを進んだが、3番手以降はスローペース。ダノンキングリーと同じ上がり3ハロンをマークしたものの結果的に位置取りの差が出た。ソウルスターリングは馬体をふっくらと見せて気配は良かった。2番手でレースを進め、3コーナー付近から早めにスパート。昨年のラッキーライラック(2番手から②着)のような立ち回りだったが、最後は決め手が上位2頭に見劣って③着。

 本命に推したインディチャンプはプラス16キロと馬体が回復し、張り、ツヤともに上々。いい仕上がりだった。ラスト100mあたりから脚いろが鈍ったあたり1800mは微妙に長いのだろう。母ウィルパワーは現役時代に1400m以下で活躍し、産駒も短距離向き。折り合いがついてレース運びは合格点を与えられる内容だった。マイル以下で改めて期待したい。

 

                                 text by 京増 真臣

 

※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。

 

 

【データ泣き笑い】

〇馬齢・・・今年は4歳→5歳で決着。7歳以上の馬は3頭出走していずれも⑥着以下に敗れた。ただ、5歳牝馬ラッキーライラックが②着に好走。牝馬は4歳だけでなく、5歳であっても狙える。

〇斤量・・・58キロを背負ったインディチャンプは④着、ウインブライト⑦着。今年も善戦止まりで好結果を得られなかった。

〇騎手・・・横山典弘騎手は2011年以降、中山記念には7回騎乗して[2・2・0・3]。特に2014年以降は①②②①着と騎乗機会4連続連対中だ。しかも、5、8番人気も含まれており、来年以降も騎乗してくれば必ず買い目に加えたい。

 


 
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