1月5日に中山競馬場で行われた第70回GⅢ中山金杯(芝2000m・4歳以上・ハンデ・曇・良馬場)はヒシイグアス(単勝1番人気)が優勝。騎乗した松山弘平騎手、管理する美浦・堀宣行調教師ともに中山金杯は初勝利。ヒシイグアスは北海道安平町・ノーザンファームの生産馬。馬主は阿部雅英さん。

 

それでは、レースを振り返っていきましょう。

 

 

 

【展開・ペース】 大方の予想通りロザムールが主導権を握り、外枠からウインイクシードも積極的に2番手の位置につけましたが、スタートから3ハロン目が13秒1と急激にペースダウン。その後も緩やかな流れとなり、ペースが上がったのは7ハロン目から。前で運べる先行力か、速い上がりに対応できる瞬発力がない馬には厳しい展開となりました

 

 

軌道に乗り、更なる高みへ

【レース分析】 勝ったヒシイグアス(1番人気)は中団にポジションを取り、周囲の動きに惑わされることなく、3コーナーを回るあたりから進出を開始。直線入り口でもスムーズに進路を確保し、存分に決め手を発揮しました。

「人気に支持して頂き、それに結果で応えられて嬉しく思います。スタートをしっかり出てくれて、思っていた通りのポジションが取れましたし、道中のプレッシャーはキツかったのですが、辛抱して脚をためられました。外に出してからは凄くいい脚で、着差以上に強い競馬をしてくれましたし、更に上を目指して頑張ってほしいです」とレース後に松山騎手はコメント。ここにきて折り合い面に進境を見せていることが、末脚の鋭さにも結び付いている印象ですし、完全に軌道に乗ったと判断していいでしょう。そして、この日に3勝の鞍上も昨年と同様、あるいはそれ以上の活躍が期待できそうです。

 

ヒシイグアスの4代血統表

 

収穫多かったココロノトウダイ

 そして、このレースで進境を窺わせたのが②着のココロノトウダイ(5番人気)。10キロ増の馬体はボリューム感十分で非常に良く映り、レースでも道中は馬群のインで少し力む感じでしたが、折り合いをつけて、勝ち馬の内から鋭く伸びてきました。機動力があって切れ味よりも器用さが身上のタイプと見ていましたが、速い上がりの競馬に対応した点が大きな収穫。明け4歳馬ですし、今後が楽しみになりました。③着ウインイクシード(11番人気)は鞍上が初騎乗でも積極的な運びで、持ち味を出し切った印象。④着ロザムール(14番人気)も展開利が大きかったですが、2000mの距離で健闘できた点は見逃せません。

また、⑤着アールスター(13番人気)は序盤で少しゴチャつく場面があり、ゴール前の伸びは目立ちましたから、今後も中距離のGⅢなら目の離せない存在といえます。一方、自分が紙面で◎としたテリトーリアル(3番人気)は内枠だったので好位のインに収まってしまい、自分からは動きにくい形。前走同様、得意ではない瞬発力勝負のレースパターンになってしまったので、展開ひとつで巻き返しは可能と考えています。2番人気で⑭着のディープボンドも力を出し切れていないレースぶりでしたので、こちらは次走狙い馬の方で取り上げておきます

 

                          

text by 五十嵐 友二

 

 

※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。

 

 

 

【データ泣き笑い】

〇前走クラス・・・連対馬の前走を見ると、勝ち馬は前走、準OP①着、②着馬も前走は準OPで勝利。近年、劣勢だった準OP組によるワンツー決着。しかも、もう1頭出走していた前走、準OP組のロザムールも④着と健闘。今年が分水嶺となり、大きく傾向が変わる可能性があり、今後も準OP組に注目。ちなみに2000年以降、前走が条件戦で中山金杯を勝った馬はヒシイグアスで3頭目。残る2頭は・・・。

☆2007年 シャドウゲイト 同年、海外GⅠシンガポール航空国際C優勝。

☆2012年 フェデラリスト 次走でGⅡ中山記念を制し、続くGⅡ(当時)大阪杯で②着。

〇馬齢・・・今年は5→4→7歳で決着。この項目は過去の傾向から大きな変化はない。

〇斤量・・・ハンデ54キロ以下だった2頭が①、②着。来年以降は軽い斤量だからといって軽視するのは危険。また前走から斤量が増えた馬は3頭出走して⑥⑩⑫着といずれも凡退。長らく中山金杯はハンデキャッパーが力を認め、負担重量の増えた馬が狙い目だったが、この点も今年を境に変わっていきそうだ。

 

 

《中山金杯 2016-20》

 

 


 
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