第35回 フラワーカップ 回顧

　3月20日に中山競馬場で行われた第35回ＧⅢフラワーカップ（芝1800ｍ・3歳・牝馬・別定・曇り・良馬場）はホウオウイクセル（単勝5番人気）が内から抜け出して優勝。騎乗した丸田恭介騎手は当レース初勝利。また管理する美浦・高柳瑞樹調教師にとってはJRA重賞初勝利となった。ホウオウイクセルは北海道洞爺湖町・レイクヴィラファームの生産馬。馬主は小笹芳央さん。

 

それでは、レースを振り返っていきましょう。

 

 

 

【展開・ペース】　外枠からアビッグチアが押してハナに立ち、前半3ハロン通過は37秒４と落ち着いた流れ。ただ、そこからは1ハロンが12秒台後半のラップが１度もなく、道中は2番手以下が少し離れ気味。3コーナー手前から馬群が凝縮する形になったこともあってペースは緩まず、最後は中距離に対応可能なスタミナ、地力が要求される消耗戦となりました。

 

 

新味発揮してクラシックへ

【レース分析】　勝ったホウオウイクセル（単勝5番人気）は馬群の外から末脚を伸ばしたＧⅢフェアリーＳ②着時とは一転し、内枠からポジションを取りにいきました。前半は少し掛かり気味でしたが、ペースが落ちなかったことも幸いして向正面ではスムーズに折り合って好位のインで流れに乗る理想的な形。直線でもしっかりと伸びて馬群から抜け出し、後続の追撃を封じました。

「状態は変わりなくいい感じでした。攻め馬でいい意味で掛かるようになってきて、手応えも良かったです。テンションは高めでしたが、いい雰囲気で競馬に向かえましたし、狙っていたポジションも取ることができました。続けて乗せてもらって、チャンスをいただけるのは光栄ですね。これからもイクセルと頑張っていきたいと思いますので、応援をよろしくお願いします」とレース後に丸田騎手がコメント。

鞍上も会心の騎乗だったようですが、馬も操縦性が向上し、使う毎の進境を窺わせる好内容。小柄な馬体がひと回り大きくなれば理想的ですが、更に距離が延びても問題なさそうですし、マイルのＧⅠ桜花賞だけでなく、ＧⅠオークスに向けても楽しみな存在となりそうです。

 

 

機動力見せたエンスージアズム

　②着が自身が当日版で◎にしていたエンスージアズム（2番人気）で、こちらが予想していたよりも位置取りは若干、後ろになりましたが、期待通りに勝負どころから追い上げる機動力を見せて連対を確保。スタート難も完全に解消したようですし、レース運びの巧みなタイプだけに、更に相手が揃った場合もマークが必要でしょう。1番人気に支持されたユーバーレーベンも結果は③着でしたが、中間に一頓挫あって復帰の予定が遅れ、馬群の外を回るコース取りの差もあって②着馬とハナ差ですから、地力は十分に示したといえます。順調度がＵＰすれば当然、上積みが見込めますし、今後の動向からも目が離せません。

　④着のイズンシーラブリー（3番人気）は大外枠から積極的に好位をキープして伸び切れませんでしたが、個人時な見解では今の中山芝コースのタフな馬場状態より、鋭さの生きる舞台設定が合う印象。適条件で見直したいですし、距離に関しては今後のレースぶりなどで、改めて適性を判断したいと感じました。⑤着のクールキャット(7番人気)は鞍上がテン乗りで、後手に回ったこともあって思い切った待機策。大外から上がり最速で伸びて掲示板に載れば、高水準のＧⅢアルテミスＳで⑤着が伊達ではないことを示しました。④⑤着馬は次走で1勝クラスに出走することも可能ですからら、そうなれば勝ち負けは必至でしょう。

 

 

 

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

text by 五十嵐 友二

 

 

※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。

 

 

 

【データ泣き笑い】 〇前走クラス・・・連対馬の前走を見ると、勝ち馬はＧⅢ②着（0秒4差）、②着馬は1勝クラス①着（クビ差）。1勝クラス組は着差による取捨選択をしたのが悪い方に出てしまった。 〇レース間隔・・・①②着馬は前走から2ヵ月半、3ヵ月ぶりと休み明けでの出走だった。今年で潮目が変わった可能性も。来年以降はあまりレース間隔に固執せずに勝ち馬を探すようにしたい。 〇乗り替わり・・・2016年以降、馬券に絡んだ18頭中、5番人気以下だった馬は6頭。そのうち5頭はジョッキーが前走時から継続して騎乗していた。20年、12番人気ながら優勝したアブレイズや今年の勝ち馬ホウオウイクセルもこれに該当。穴を出すのは継続騎乗となるコンビという点は覚えておきたい。       《フラワーカップ　2016－20》