2017年4月30日(日)3回京都4日11R第155回 天皇賞(春)(GI)は、1番人気のキタサンブラックが昨年に続く勝利で、史上4頭目の春の盾連覇を達成。GIは15年菊花賞、16年天皇賞(春)、ジャパンカップ、17年大阪杯に続く5勝目。騎乗した武豊騎手は天皇賞(春)8勝目で、JRA同一GI8勝は史上初。また、同馬を管理する清水久詞調教師は、昨年に続いて天皇賞(春)2勝目となりました。レースはキタサンブラックが単勝2.2倍、2番人気のサトノダイヤモンドが単勝2.5倍、3番人気のシャケトラが9.9倍ですからオッズ的には2強といった図式。それではレースラップです。
R3.12.5(12.9 – 11.5 – 11.2 – 11.3 – 11.4 – 11.6 – 11.6 – 13.0 – 12.5 – 12.7 – 12.6 – 12.5 – 12.2 – 11.6 – 11.7 – 12.2)
3.12.5は2016年にディープインパクトがマークした3.13.4を0秒9も上回るレコードでした。レースはヤマカツライデンが序盤から飛ばして、7ハロン目まで11秒台のラップが並ぶおよそ長距離とは思えない異様なハイペース。離れた2番以降もかなり速い流れだったことが予想されます。それだけシビアな流れの長距離戦で、スタートで出遅れ、その後も力んで走っていた3番人気のシャケトラ。悪くない位置取りでしたが、直線で伸びを欠いたのも仕方ないでしょう。逆にキャリアを考えると良く走っているとも言えます。同じく5番人気ゴールドアクターも出遅れ。こちらは後方から。我慢比べのようなレース展開では厳しかったですね。
勝ったキタサンブラックは離れた2番手で、自身もハナを切っているような形。この一頭だけ前が飛ばしている形というのは、単純にハナを切るよりも後ろは動き辛いので良かったと思います。ラスト12秒2のラップが示しているように最後はどの馬も脚が上がっており、まさに底力が問われるサバイバルの様相。理想的な展開であり、且つ最強を証明するに足る展開でした。身体能力の高さに目が行きがちですが、大舞台で動じない、そして鞍上に従順といった精神面こそが、この馬のレース支配力を支える最大の武器ではないでしょうか。
2着シュヴァルグランは終始勝ち馬を見ながら、いつでも動ける位置。人馬とも完璧なレースだったと思います。これは相手を褒めるしかないでしょう。もういつでもGIを勝てるだけの力は備わっていますね。サトノダイヤモンドはやはり外枠の影響はあったと見るべき。この流れを外から動いて、4角ではシャケトラを競り落とし、直線もよく追い上げています。58kgの斤量は初めてでしたし、折り合い面に進境を見せたのは収穫です。十分強いでしょう。
アドマイヤデウスは位置を取りにいって、うまく我慢できました。ここがシャケトラとは違ったところ。道中は勝ち馬をピッタリとマーク。2周目3角手前で岩田騎手はチラッと後ろを振り返り、誰もいないのを確かめてインにこだわる競馬。勝ち馬に引き離れた後もよく粘っています。敢闘賞はこの人馬に送りたいですね。アルバートはスタート後に中団のインに収まり、ホームストレートで馬群の外目、サトノダイヤモンドの直後へ。2周目3角過ぎからずっと手が動いていましたが、手応え以上に渋太かったです。ここまで掲示板に載った5頭がレコードを上回る時計でした。個人的に注目していたのが、正直難しいかなとも思いながら、レース前解析で穴馬として挙げたディーマジェスティ。スタートでは出遅れてムチが入っていましたが、それでも後方から。2周目向正面で外に出して、ジワジワと上がって行きます。3角過ぎには大外から一旦サトノダイヤモンドに並びかけて直線へ。はっきり言って一番粗い、ロスの大きな競馬をして6着。これ、馬が真面目に走ったらどれだけ戦えるんだと思わせる内容でしたが、今後もアテにしづらい、買いづらい馬には変わりありません。
いや、それにしても凄いレースでした。観戦直後の率直な感想は「いいもん見たな」です。間違いなく後世に残る名勝負だったと言えるでしょう。
text by 小林
※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。