Without haste,but without rest.
2回東京6日目11R第23回GⅠNHKマイルカップは6番人気ケイアイノーテックが後方から鋭く伸びて接戦を制した。鞍上の藤岡佑介騎手はデビュー15年目で嬉しいJRA・GⅠ初制覇。ケイアイノーテックは父ディープインパクト、母ケイアイガーベラという血統。生産は新冠の隆栄牧場。馬主は亀田和弘さん。藤岡佑介騎手は土曜日のGⅡ京都新聞杯に続き2日続けての重賞勝利。また栗東・平田修調教師は2日、船橋で行われた交流GⅠかしわ記念で管理馬ゴールドドリームが優勝。好調なジョッキー、トレーナーがGⅠの舞台で輝いた。
勝ち時計 1.32.8(晴れ・良)
前半4F → 後半4F 46.3 → 46.5 (Mペース)
12.1 – 11.1 – 11.2 – 11.9 – 11.7 – 11.3 – 11.5 – 12.0
【展開・ペース】
好スタートを決めたダノンスマッシュが前に出たが、これを制して内からテトラドラクマがハナを奪った。前半600mの通過タイムは34秒4。これは良馬場で施行された09~17年の平均タイムと一致。決して速くはないが、緩みのないペースでレースが進行した。
【レース分析】
13年のマイネルホウオウ以来、久しぶりにGⅡニュージーランドトロフィー組が頂点に立った。ケイアイノーテックは序盤、鞍上が押してもなかなかスピードに乗れず、後方2番手を追走。残り1ハロンを過ぎて先行勢の脚が鈍ったところをキッチリ捉えた。内を進んだ有力馬が直線に入ってからゴチャついていた分、勇気を持って外へ持ち出した藤岡佑介騎手の判断も奏功。後方待機勢にお誂え向きとは言えない流れでの差し切り勝ちを見終えた直後、同じディープインパクト産駒のサトノアラジンが直線一気を決めた17年安田記念の様子が思い浮かんだ。
レース後、藤岡佑介騎手は「行き脚がつかず、腹を括って直線に賭けました。(直線は)横風が強くて煽られてしまいそうな中でも本当にいい脚を使ってくれました。距離が延びても可能性を感じる内容。決してうまく乗れたわけではありませんでしたが、よく走ってくれたケイアイノーテックに感謝したいですね」とコメント。13年にはフランスへ長期遠征を敢行するなど、現状に満足せずチャレンジを続けてきた藤岡佑介騎手。デビューから15年目でのJRA・GⅠ制覇。検量室に戻ると、多くの騎手から祝福を受けていた姿が印象的だった。
②着もディープインパクト産駒のギベオン。道中は好位に陣取り、折り合って追走。直線に向く際の手応えは抜群。追っての反応が良く、外のミスターメロディ、内のダノンスマッシュを交わして先頭へ。ところが、1頭で抜け出すと右ムチに過剰に反応し、内へヨレてしまう。そこから鞍上が左ムチを入れて立て直し、盛り返すように伸びたが、ゴール寸前で勝ち馬の強襲に屈してクビ差②着。惜しくも敗れたが、初めてのマイル起用でもスンナリとペースに対応し、強敵の揃ったGⅠで好位から一旦は抜け出した内容は立派。
GⅢアーリントンカップで最速の上がり3ハロンをマークして出走権を獲得したレッドヴェイロン。今回も出遅れたのに加え、終始、外を回るロスもあったが脚を伸ばして③着。エリモピクシーを母に持ち、半兄はマイル戦線で長く活躍を続けたクラレント、レッドアリオン。まだ本賞金は400万円だが、順調にキャリアを積み重ねることさえできれば、すぐにオープンクラスまで駆け上がってきそうだ。プリモシーンは後方の内を追走。しっかり折り合って脚は溜まっていたが、直線に向くとズラリと前に馬がいて進路の確保は難航。結果、大きく外へ持ち出す形に。追い出しを待たされていなければ際どい勝負に持ち込めただろう。
1番人気タワーオブロンドンはスタートで躓き、その後は行きたがって、走りのリズムが悪かった。直線は内を進むもなかなか進路が開かず、そうこうしている間に内、外から挟まれるような格好になって減速。時計の出やすい馬場でありながらペースがそれほど上がらずに馬群が密集し、タワーオブロンドンの他にも不利を受けたり、スペースがなく、脚を余した馬が多く見られた。
ロックディスタウンはパドックで急に立ち上がって転倒。その後は立ち上がって周回し、何事もなくレースに出走したが、馬券を購入する方がいる限りは馬体検査を行い、異常がないことを確認した上でゲートインさせるべきではなかっただろうか。そしてロックディスタウン自身にはしっかりと休んで心身をリフレッシュしてもらいたい。秋は平常心でレースに臨み、再び活躍する姿を見たいと切に願う。
text by 藤原
※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。