5回中山8日目11Rに行われた第63回GⅠ有馬記念は唯一の3歳馬で3番人気に支持されたブラストワンピースが優勝。GⅠ初制覇を成し遂げた。騎乗した池添謙一騎手は有馬記念はこれが4勝目。管理する大竹正博調教師にとって開業10年目にしてGⅠレース初勝利となった。ブラストワンピースは父ハービンジャー、母ツルマルワンピースという血統。北海道安平町・ノーザンファームの生産。馬主は(有)シルクレーシング。

 

それではレースを振り返っていきましょう。

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【展開・ペース】

 最内枠からオジュウチョウサンが半馬身ほどリードを取ったが、外からキセキがこれを制してハナを奪取。1~2コーナー付近では一旦ペースを緩め、向正面に入ってからは徐々にペースUP。残り5ハロン地点からは11秒台のラップが並び、消耗戦となった。

【レース分析】

 勝ったブラストワンピースはスタートをキッチリと決めて中団の外目を進む。しっかり折り合いはついていた。まずこれは勝因のひとつとして挙げられるだろう。キセキがペースを上げた向正面でも手応えは抜群。すぐ後ろをレイデオロが追走している状況だったが、池添騎手は3コーナーを過ぎてからポジションを上げていく。対照的に1番人気のレイデオロは少し反応が鈍い。直線に向いたブラストワンピースは渋太く粘るキセキを交わすとレイデオロの追い上げをクビ差凌いでゴール。大器の片鱗を幾度となく示していた逸材が歴戦の古馬を退けてGⅠ制覇を成し遂げた。

「ずっと『GⅠを勝てる馬』と言い続けていたので、それをやっと証明できて本当に嬉しいです。真ん中の枠だったので、閉じ込められないように気をつけつつ、攻めた競馬をしたいと思っていました。スタートして少し出していってあの位置を取り、道中は上手に走れていました。前にいた馬は渋太いですし、後ろにレイデオロがいるのも分かっていましたが、残り600mあたりで仕掛けていきました。一生懸命伸びてくれましたし、「頑張ってくれ」と思いながら追っていました。坂を登り終わったところで詰め寄られましたが、何とか凌いで頑張ってくれました。まだまだこれから成長すると思いますし、来年は古馬のチャンピオンとして頑張ってくれると思うので、また応援していただけたらと思います」とレース後の池添騎手。

レイデオロの進出を待たず、勝ちを意識して動いていった池添騎手の判断。これも勝利を大きく引き寄せた要因。まだまだ成長余地を残す段階でこれだけのパフォーマンス。完成した時、どんな走りを見せてくれるのか、興味は尽きない。

ブラストワンピースの4代血統表

  ②着レイデオロは前走からプラス8キロの馬体重。ただ、決して太目感はなく、パドックではチャカつく仕草を見せずに落ち着いて周回。「体は完成の域に達してきた。これまでの課題をクリアしながら、もうひとつステージを上げてきたようにも感じる」という陣営のコメント通りだなと感じた。道中はブラストワンピースの直後を追走。誤算だったのは3コーナー過ぎから仕掛けた際に加速するのに時間がかかった点。「3、4コーナーの馬場が悪かったので反応があまり良くありませんでした」とC.ルメール騎手はレース後に語っており、小雨が降り、少し荒れた馬場を気にしたか。それでも、エンジンがかかると勝ち馬にクビ差まで詰め寄った点がこの馬の底力。ブラストワンピースとは2キロの斤量差もあった点も考慮すると負けて強しという印象を強烈に残した。

 シュヴァルグランは15番枠からの発走。戦前から外を回るロスが懸念されたが、キセキが淀みのないラップを刻んで飛ばし、比較的縦長の馬群となったのは幸いだったか。2周目の3コーナーからH.ボウマン騎手は容易に外へは出さず、可能な限りロスが生じないようにエスコート。直線入り口では窮屈になる可能性はあったが、馬込みの中へ突っ込む。そこから上手に捌いて最後まで脚を使った。道中、大事に大事に乗ったことが上位進出に結びついたのは言うまでもない。

 最後の直線、坂を上がったところまで先頭を死守したキセキ、そして2番手追走から渋太く踏ん張ったミッキーロケット。前者はこれが今秋4戦目、後者はジャパンカップを回避しての出走だった点を考慮すると掲示板を確保したこの健闘にはただただ驚かされるばかり。

 最後にオジュウチョウサンに触れておきたい。武豊騎手はスタートが決まると積極的に前へ。このアクションがあったからこそ外枠のキセキはハナを切るまでに時間を要し、同時に脚も使わされた。また序盤のラップも予想以上に速くなった。序盤のこの攻防がレースの質を決めたとも言える。オジュウチョウサン自身もそんなタイトな流れを3番手で追走し、直線半ばまでは脚を伸ばしたのだから立派。今回はGⅠの壁に跳ね返されたが、随所に存在感を示した形。まだオジュウチョウサンの挑戦は継続中。夢は果てしなく広がっている。

 

text by 藤原

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