2020年10月31日 4回京都7日

 

 京都競馬場の改修前最後の重賞レースとして行われたスワンS(GⅡ)は11番人気で単勝143.7倍のカツジが優勝。3歳4月のニュージーランドT以来、約2年半ぶりの重賞勝ちでGⅡ2勝目。岩田康成騎手、池添兼雄調教師はスワンS初勝利となりました。

 レースはロケットがペースを作ろうとしたところを3角手前でカツジが交わして先頭へ。1番人気のサウントキアラは3列目の内。その1列前に2番人気アドマイヤマーズ。3番人気ステルヴィオはサウントキアラとの間に1頭挟んで外の位置。プロディガルサンが中団から動いた以外に隊列が大きく変わることなく直線へ。ひと足早くスパートしたカツジがリードを広げると、2番手以降はなかなか差を詰められず、外からステルヴィオが1馬身差まで迫ったところがゴール。

 波乱の立役者となったカツジは出遅れることが多かったスタートを決め、前半3Fを35.5のスローペース(同日3歳上1勝級より0.1遅い)で逃げられたことが大きな勝因。初めての逃げる展開に戸惑うことなくゴーサインに反応し、最後まで脚いろが衰えなかったのは今回から着用したシャドーロールの効果があったのかもしれません。岩田康成騎手は「GI馬並みの追い切りをしていたし、まだ奥がありそうと思っていました。ゲートをスムーズに出たので、この馬の力を信じて乗りました」と近走の成績にとらわれず、追い切りで得たいい感触をレースに結びつけました。今回はいろいろとうまくいった部分が多いので、次走が試金石となりそうです。

 ステルヴィオは4角手前で外のプロディガルサンに寄られて挟まり1馬身ほど後退。勝ち馬との着差を考えると、これが大きく影響したのは間違いありません。馬体が仕上がっていたとはいえ、休み明けとしては十分な内容。次走に向けていいステップとなりました。

 アドマイヤマーズは2番手集団の内につけて道中はスムーズに見えましたが、58㌔と初の1400mが影響したのか反応はあまり良くなく、最後は何とか3番手を死守。ステルヴィオとは0秒1差ですが、こちらは内容的にやや物足りなく感じました。

 アルーシャは中団、シヴァージは後方から外を回って追い上げました。アルーシャは実績の少ない右回りで手前こそ替えませんでしたが、スムーズな走りで牡馬の一線級相手に健闘しました。シヴァージは今回もよく追い込みましたが、前が残る展開でここまでが精一杯。ただ、1400mでも問題ないことは示しまし、流れさえ向けば勝ち負けまで可能でしょう。

 1番人気のサウンドキアラは伸びを欠いて⑩着。年明けからの充実ぶりや得意の京都コースを思うと、まさかデビュー以来、最低着順になるとは。マイナス2㌔で太めはありませんでしたが、阪神牝馬S時より張りはもうひとつというようにも映ったので、次走はそのあたりを注目したいです。

 

text by 石井大輔

 

 

 

 

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