第56回GⅡ弥生賞は8番人気の伏兵メイショウテンゲンが差し切って重賞初制覇を成し遂げた。ご存知の通り、管理する池添兼雄調教師は母メイショウベルーガと同じ。そして騎乗した池添謙一騎手は母の主戦騎手もつとめた。そんな池添親子にとって縁ある血統からクラシック候補が誕生した。勝ったメイショウテンゲン、②着シュヴァルツリーゼ、③着ブレイキングドーンまでの3頭がGⅠ皐月賞の優先出走権を獲得した。メイショウテンゲンは北海道浦河町・三嶋牧場の生産馬で馬主は松本好雄さん。

 

それでは京増TMにレースを振り返ってもらいましょう。

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【展開・ペース】

朝から雨が降り続き、重馬場での弥生賞となった。結果的に馬場に対する巧拙の差が出てしまったのかなという印象。逃げ馬が見当たらず、本命に推したラストドラフトが先導役を買って出た。前半1000m通過は61秒8、後半の1000mが61秒5で平均ペース。

メイショウテンゲンはスッキリした馬体(撮影:yu~kun)キビキビと周回を重ねていた。

【レース分析】

 メイショウテンゲンはパドックでいくらかテンションが高く、まだ心身ともに成長途上の印象を受けた。レースはスタートの出遅れを挽回して中団を追走。馬場のいい外目を通れたのも良かったのだろうが、直線の追い比べでは前を行く有力どころをねじ伏せるように抜け出して快勝。ディープインパクト×メイショウベルーガという良血馬。今後の成長次第では、クラシック本番でもマークは必要だろう。

「この馬場が味方したのかな、とそれを一番に思いました。終始いい形でしたし、下を気にせず走れていましたからね。母も道悪が得意でしたが、この馬も大丈夫でしたね。前走は切れ負けしてしまったので、今日は早目に動く形を取りましたが、うまくいきました。まだ子どもっぽいところがあって直線はフラフラしていましたが、しっかりとレースはできましたし、まだ良くなると思います。このまま順調にクラシックに向かっていってほしいですね」池添謙一騎手。

メイショウテンゲンの4代血統表

 シュヴァルツリーゼはスタートで他馬に寄られて後方から。淀みのない展開に、渋った馬場がうまく噛み合った感じだが、最後は脚いろが鈍った逃げ・先行勢を捉えて②着に浮上。馬体が増え、落ち着きもあり、成長も感じられた。トビが大きく、コーナリングがぎこちないようにまだ粗削りな面を残すが、キャリア1戦で、この内容だから将来性は十分だ。


 ブレイキングドーンはテンションが上がりやすいタイプで、今日もうるさかったけど、この程度なら許容範囲内。この馬も展開が嵌まった印象は強いが、直線はしっかり脚を使って③着に浮上した。ニシノデイジーは好位馬群で折り合いに専念。4コーナーでは逃げるラストドラフトの内をすくって伸びたが、外を回った①〜③着馬の勢いに屈してしまった感じ。これは馬場、展開のアヤだろうか。

 ペースを考慮すればラストドラフトが押し切っていい展開に思えるが、粘りを欠いてしまったあたりは馬場の影響があったのだろう。パドックではテンションが上がらず、落ち着きがあっていい雰囲気だった。今回に関しては敗因がハッキリしているのだが、皐月賞本番での取捨に迷うところだ。

 

                                 text by 京増真臣

 

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