第68回GⅢスプリングSは10番人気の伏兵エメラルファイトが追い比べからアタマ差抜け出して優勝。騎乗した石川裕紀人騎手にとってこれが嬉しい重賞初制覇となった。しかも、デビュー時から所属している相沢郁厩舎の管理馬での勝利だけに喜びも倍増。この結果①着エメラルファイト、②着ファンタジスト、③着ディキシーナイトが皐月賞の優先出走権を獲得した。エメラルファイトは北海道浦河町の金成吉田牧場の生産馬。馬主は高橋勉さん。

 

それではレースを振り返りましょう。

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【展開・ペース】

 1枠2番から好スタートを決めたクリノガウディーが主導権を握る。ヒシイグアスカラテらが続いてラップタイムをご覧いただいても分かる通り、道中のペースはそれほど緩まず。1000m通過は60秒0。これは過去10年(阪神開催の2011年を除く)でも2番目に速く、地力を問われる流れとなった。

エメラルファイトは小柄だが、線の細さはなく、リラックスして周回(撮影:yu~kun)

【レース分析】

 エメラルファイトはスタートが良く、前を射程圏に入れて中団7番手というポジショニング。馬群の切れ目でスムーズな競馬ができたことが勝因のひとつだが、3コーナー付近から早目に先行勢を捉えに動いた石川騎手の判断も良かった。前日行われたフラワーCには劣ったものの、ロゴタイプが勝った2013年に並ぶ※1分47秒8という勝ちタイムも優秀だ。

※2000年以降、1分48秒を切る時計(中山施行時)でスプリングSを勝ったのは・・・

2002年 1分46秒9 タニノギムレット 皐月賞③着→日本ダービー①着

2005年 1分47秒3 ダンスインザモア 皐月賞⑧着→日本ダービー⑭着

2013年 1分47秒8 ロゴタイプ    皐月賞①着→日本ダービー⑤着

 

「弥生賞(10頭立て)と比べて頭数が多かったので、どう捌こうかと思っていましたが、ある程度周りを見渡せる理想的なポジションで運べました。直線はいい手応えで抜けてきましたが、坂が応えたのか少し鈍りました。ただ、後ろから来られたら、もうひと伸びしてくれました。馬の根性に助けられましたね。馬体はデビュー以来、大きな変化はありませんが、精神面で凄く成長を感じます。お世話になっている相沢厩舎の馬で勝てて嬉しいです」石川裕紀人騎手。前2走はレースに騎乗していなかったが、調教には毎週のように乗っていた石川騎手。普段からコンタクトを取り続けていたことも好結果につながった一因ではないだろうか。

エメラルファイトの4代血統表

 ファンタジストは折り合いがついてメンバー最速の上がり3ハロンをマークして②着。パドックでは朝日杯FS時に見せていたうるささがなく、落ち着いていた。距離延長に対応できた点も収穫で皐月賞に繋がるレースができたね。ディキシーナイトは正攻法のレース運びで③着。結果的に後続の目標になる形だった分、中身は濃い。一戦ごとに着実な成長曲線を描いており、個人的にはベストの条件と思えるNHKマイルCではチャンスがありそうだ。

 ◎ユニコーンライオンは前回より落ち着きがあって気配は良かったが、スタートで後手を踏み、流れに乗り切れなかった。今回はキャリアの浅さを露呈してしまったが、好馬体の持ち主。素質は秘めており、先々まで注目したい素材。さて、皐月賞の出走権利を獲得した3頭はここまでに2勝以上を挙げている既成勢力で新興勢力の台頭はなかった。トライアルがひと通り終わって本番はアドマイヤマーズサートゥルナーリアダノンキングリーの3頭に絞られてきた印象だ。

 

                                 text by 京増真臣/構成・藤原

 

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