2019年3月31日(日) 2回阪神4日
GⅠに昇格してから3年目を迎えました。ドバイと日程が重なりながらも、GⅠ馬が8頭となかなか豪華な顔ぶれです。1番人気は昨年の有馬記念を制したブラストワンピースで3.2倍。2番人気キセキが4.1倍。ペルシアンナイト、ワグネリアン、エアウィンザーと続いて、ここまでの5頭が単勝一桁台でした。前2年は単勝1番人気のキタサンブラック、スワーヴリチャードが勝っています。果たして今年は?
エポカドーロが逃げて、キセキは控える形。前半61秒3─後半59秒7のスローペース。留意点としては、前日が雨競馬で馬場は緩かったですが、Bコース1週目で内はマシな状態。直線は向かい風が強く、全体に上がりがかかっていたこと。ペースは10Rの御堂筋S(芝外回り2400m)でも1000m通過60秒3ですからGⅠとしてはかなり遅かったです。ちょうど4コーナーにあたる箇所が11秒4と最速ラップ(テン2ハロン目は除く)で、そこで外を回った馬は厳しかったです。そのあたりもロスなくインを回った馬が上位へ来た理由になるのかもしれません。
優勝したアルアインは2017年皐月賞以来の勝利。父ディープインパクト、母ドバイマジェスティ。父の産駒は過去5年で3勝していましたが、今年は1着、3着、4着がディープインパクト産駒でした。馬主は(有)サンデーレーシング。生産はノーザンファーム。管理する池江泰寿調教師は今年早くも3つ目の重賞勝ち。鞍上の北村友一はこれが嬉しいJRA・GⅠ初勝利でした。道中は3列目のイン。直線はポッカリと空いたエポカドーロの内から脚を伸ばし、キセキをクビ差抑えてゴール。枠順や位置取り、展開などバッチリで、理想的な競馬ができました。先週の高松宮記念と同じく勝つ時はすべてがうまくいくものですね。
有馬記念以来となるキセキでしたが、仕上がりは良好。レースは内のエポカドーロを行かせて2番手から。速い流れで引っ張る昨年秋とは違う競馬でしたが、折り合いは問題ありませんでした。道中で脚を溜めて直線へ。うまく立ち回っているとは思います。一番チャンピオンらしい競馬をして地力は示しましたが、今回は勝ち馬にいろいろと運が向きました。ただ、この形だと今後も切れ負けしてしまう可能性があるのは確かでしょう。
③着ワグネリアン、④着マカヒキは枠なりで内々の競馬。ただ、前者は勝ち馬の直後。後者はポツンと最後方から。結果的に着順の差は位置取りの差といっても過言ではないでしょう。ワグネリアンはレース前からテンションが高く、そんな中で福永騎手はうまく乗っていると思います。4コーナーで内ピッタリ回って直線に向くと、前がポッカリと空いていました。神戸新聞杯以来の実戦で初めての古馬相手でしたが、渋太く足を伸ばして0秒1差は立派。マカヒキは直線に向いて手応え十分。岩田騎手は一瞬内も考えたようですが、外へ(最後の直線コースで外側に斜行したことについて戒告。被害馬11番)。そこからの伸びは目立ちましたし、上がりはレース最速。競馬にタラレバは禁物と言いますが、あのまま内をスムーズに捌けていれば結果が変わっていたかもしれません。
エアウィンザーはある程度出していって、内へ潜り込み、道中はワグネリアンの外。直線に向いて前が開いていてスムーズな競馬ができましたし、力は出し切ったと言えるでしょう。これがG1初挑戦。着差を考えれば頑張っています。
1番人気のブラストワンピースは⑥着。キセキと同様、有馬記念以来でしたが、パドックではいい気配に見えました。池添騎手は最初から外を回すのを意識したような運び。それは良いのですが、位置取りが悪かったです。有馬記念のように流れていれば違ったかもしれませんが、これだけ内、前の競馬になっては厳しいでしょう。しかも、4コーナーで前を行くペルシアンナイトが外に膨れたために余計にロスが大きくなりました。逆によくあそこまで来たなと。
ペルシアンナイトも枠順、展開が向かなかった一頭。コーナーで外々を回り、直線の立ち上がりでは膨れ気味。直線は外からジワジワ伸びてきましたが、途中で少し寄られるような感じになり、最後はレースを止めていました。前2年のマイルCSや昨年の大阪杯を見ても、外からひとマクり、または直線大外一気といったタイプではないですよね。脚の使いどころが難しいです。
なお、エポカドーロは競走中に鼻出血を発症。残念ではありますが、あの止まり方も納得です。
text by 小林
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