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第62回 阪神牝馬ステークス 回顧

2019年4月6日(土) 2回阪神5日

 ヴィクトリアマイル創設と同時に12月から4月開催となったのはラインクラフトが勝った2006年。当時は1400㍍でしたが、2016年から1600㍍に変更されました。

 今年は14頭が揃い、今季緒戦の中山記念で②着と復活の兆しを見せたラッキーライラックが単勝1.5倍と一本被りに。カンタービレが7.5倍、レッドオルガが9.4倍とここまでが10倍以下。

 レースは3年ぶりのマイル戦だったダイアナへイローがスピードの違いで先頭に立ち、前半の半マイルを47秒9とペースを落としたことで各馬は一団に。その影響か、中団馬群の内にいたラッキーライラックは3角で挟まる不利を受ける。ペースが上がったのは残り600㍍からだったので、完全な瞬発力勝負に。まず、2番手にいたアマルフィコーストが先頭に立ったが、すぐ外にいたミッキーチャームがこれを捉えて坂を駆け上がると、そのまま半馬身差をつけてゴール。アマルフィコーストが粘り、勝ち馬の外にいたミエノサクシードが流れ込んで③着。逃げたダイアナへイローも渋太く食い下がって④着。クロコスミアまでが掲示板圏内で、そのあとにカンタービレ、レッドオルガ、ラッキーライラックと人気上位3頭が続きました。ラッキーライラックでも勝ち馬から0秒2差で、上がり3ハロンは33秒6。4角5番手以内の5頭が掲示板を独占と、実力よりは位置取りの差が結果に表れたレースとなりました。

 勝ったミッキーチャームはこれが重賞初制覇。秋華賞ではあわやのシーンを演出しての②着でしたが、前走の中山牝馬Sで最下位と大敗した影響で今回は人気を落としていました。前回は中山への長距離輸送もあって、パドックでは最後尾でもかなりチャカついていました。それが、今回は関西圏だったので馬番順でも落ち着いて歩けていました。レースではダイアナへイローが行ったことで控える形になっても折り合いがつき、後半のペースアップにもスムーズに反応。本来の力を出し切れました。ヴィクトリアマイルに使うようなら当日の落ち着き次第となりますが、能力的には当然、チャンスのある1頭です。

 ②着アマルフィコーストは京都牝馬Sに続き格上挑戦で好走。賞金を加算してオープン入りです。今回は展開面で恵まれましたが、京都牝馬Sでは前崩れの展開を粘ってのもの。以前よりも落ち着きが出たことでレースぶりが安定し、距離も持つようになりました。フロック視してしまうと、痛い目に遭うような気もします。

 ミエノサクシードはスタートで出遅れてもスローペースを見越してか、いつもより前の位置を取ったのは好判断。あまりいい脚が長く使えるタイプではないが、相性のいい阪神だと外回りでもしっかりと脚が使えて、今回もその例に漏れず好走。ヴィクトリアマイルよりはマーメイドSで狙いたいです。

 ダイアナへイローは先頭に立ってからは折り合いがつき、ペースをしっかり落とすことができた鞍上の好騎乗が光りました。馬場がいいこともあって、この馬には上がりが速くなり過ぎましたが、マイルをこなせたことは今後のレース選択の幅が広がるという意味で収穫となりました。

 クロコスミアは2列目のインからの運びで理想とはいえない形でしたが、最後まで手応えや脚色は良く、進路が開いていればもっと際どい勝負に持ち込めたはず。これは⑥着のカンタービレにもいえることで、本番での巻き返しには注意したいです。

 ⑦着レッドオルガは出遅れて後方の外を通る形になったのがすべて。北村友騎手は「右回りでコーナリングがうまくないところもありました」とコメントしているように、ベストは左回り。それでも最後はよく追い上げているので、左回りに替わればひと味違うはずです。

 ⑧着ラッキーライラックはスタート直後こそ2列目でしたが、クロコスミアが控えたことと、3角で挟まれたことで2列後退。これで万事休すとなり、直線ではかなり内にモタれていました。道中でリズムを崩し、力を出し切っていないのは明白。ヴィクトリアマイルに向けては近年、ここを勝つよりも負けた馬が巻き返す傾向にもあるので、悲観することはないでしょう。

 

text by 石井大

 

 

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