9月16日に中山競馬場で行われた第73回GⅡセントライト記念(芝2200m・3歳・馬齢)は単勝1番人気に支持されたリオンリオンがインから力強く抜け出して優勝。GⅡ青葉賞に続く、重賞2勝目を挙げた。この結果、勝ったリオンリオン、②着サトノルークス、③着ザダルまでの3頭がGⅠ菊花賞の優先出走権を獲得。リオンリオンの鞍上は横山典弘騎手。管理するのは栗東・松永幹夫調教師。リオンリオンは北海道安平町・ノーザンファームの生産馬。馬主は寺田千代乃さん。

 

それではレースを振り返っていきましょう。

 

 

【展開・ペース】 ハナ候補と目されたのはマテリアルワールドリオンリオン。前者はゲートの出が今ひとつだったのに対し、後者はポンとスタートを決めると出脚がついて先頭に立った。このまま隊列が決まるかと思われたが、外からアトミックフォースリオンリオンに並びかける。リオンリオンは自然体で先行しただけで掛かっているわけではなく、ハナを譲ってインの3番手へ。何気ないシーンだが、もし、序盤から仕掛けてリオンリオンが闘争心を表に出していたら、この地点で競りに発展し、無駄なエネルギーを消費していた可能性も。前半1000m通過は59秒8。後半の1000mも同じ59秒8。イーブンペースで緩みがなく、地力を問われる流れだった。

 

【レース分析】 未明から雨が降り続き、この日の中山芝は重馬場発表。ただ、開幕2週目ということもあったのか泥が跳ね、馬たちが蹴り上げた芝が飛ぶような悪いコンディションにはならず。2分11秒5という重馬場とは思えないタイムで決着した。

リオンリオンの馬体重は前走比、プラス12キロ。大きく増えたが、太目感はなく、これは成長分だろう。パドックでは外目をキビキビと周回するいつもの姿を見せた。インの3番手に収まる形になったが、折り合いはバッチリ。直線に向くと逃げるアトミックフォースと外のナイママとの間にできたスペースから抜け出し、一気にリードを広げる。接戦となった②、③着争いを尻目に堂々の完勝。道中はコースロスなく運べたこと、極端に速い上がりを要求されなかったこともプラスに働いたが、控える形で結果を出せた点が一番の収穫。心身ともに成長を示し、GⅠ菊花賞の有力候補に名乗りを挙げた。

 

リオンリオンの4代血統表

 

 「いい感じで馬が唸っていましたが、今日は久しぶりに抑えることができました。馬場は先週から良かったですし、今日は雨が降ってちょうど良かったです。まだヨタヨタするところがあって、これからもっと良くなってほしい部分はあるものの、秋緒戦としてはいいレースをしてくれました。次は相手が強くなりますが、頑張ってほしいです」横山典弘騎手。GⅠ菊花賞の歴史を振り返っても、1998年セイウンスカイを最後に逃げ切り勝ちはなし。重賞で控える形を試せた点は値打ちがあり、しかも優勝という最高の結果。本番では一体、どんな戦法を取るのか。この人馬から目が離せない。

 

 

 ②着はサトノルークス、③着にザダル。2頭の共通項は内枠、そして内ラチ沿いをロスなく立ち回ったことだった。前述した通り、重馬場でもそれほど芝は悪くなく、速い時計の出るコンディション。「今の馬場状態を考えると、内か外かと言えば内を通る方がアドバンテージがあると思っていましたし、枠も良かったのでやることは内を捌くだけでした」ザダルに騎乗した石橋脩騎手はレース後にコメント。道中、ロスなく運んだことが好走に繋がった。サトノルークスに騎乗した川田将雅騎手もそうだが、そんな馬場傾向を敏感に感じ取り、勝負どころでも安易に外へは持ち出さないインにこだわったジョッキーの勝負勘も光った。

 ①~③着馬とは対照的に外目を回って伸びてきたのが④着のルヴォルグ。ゴール前、坂をのぼり切ったところで脚が鈍ってしまったが、コース取りを考えれば上々の内容。⑤着ニシノデイジーは折り合いを重視して前半は後方待機。日本ダービーの時のように内に潜り込むことはできなかったが、リズム良く走れていた。3コーナー手前から仕掛けて上昇を開始。4コーナーあたりで勢いがつき、最速の上がり3ハロンをマークして前に迫った。今日に関してはコース取り、位置取りの差が出た格好。決して悪い内容ではなく、本番では大きく変わって驚けない。

 

 

                                 text by 藤原 有貴

 

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