6月21日に函館競馬場で行われた第27回GⅢ函館スプリントS(芝1200m・3歳以上・別定・晴れ・良馬場)はダイアトニック(単勝1番人気)が優勝。父ロードカナロアが現役時代に勝つことができなかった(②着)サマースプリントシリーズ初戦を孝行息子が制覇。今回、初めてコンビを組んだ武豊騎手のエスコートも完璧。その武豊騎手は函館3日目(土曜)に続き、土日のメインレースを優勝。管理するのは栗東・安田隆行調教師。ダイアトニックは北海道浦河町・酒井牧場の生産馬。馬主は(有)シルクレーシング。
それでは、レースを振り返っていきましょう。
【展開・ペース】 勝ったダイアトニックが序盤から抜群の行きっぷりを見せましたが、外のダイメイフジが先手を主張すると無理をせずに2番手に控える形。3歳未勝利の芝1200mでも前半3ハロンを33秒台で通過することが珍しくない馬場状態を考慮すると、33秒4はGⅢだと緩めといってもいい流れ。実際にレース上がりも34秒1と速く、4コーナーで4番手以内だった馬が馬券圏内を占める結果となりました。
「スピードがあり、能力も高い」
【レース分析】 1番人気の支持に応えたダイアトニックはスタートを決めて流れに乗れたことが大きく、道中の行きっぷりも抜群。2番手追走から難なく抜け出し、不利を受けて小差③着だったGⅠ高松宮記念の鬱憤を見事に晴らしました。
「今日はハナを切ってもいいくらいに思っていた。スタートも良く、いいポジションで運べたね。初めて乗ったけどスピードがあるし、能力も高い。斤量を背負っていたが、結果を出せて、ほっとしている」とレース後に武豊騎手はコメント。確かに58キロを背負って危なげない勝ち方ですから、GⅢでは地力が一枚上でしたが、前走から続けて1200mに出走することによって、小回りコースにも難なく対応できていました。この内容なら中山で行われるGⅠスプリンターズSに向けても、明るい展望が開けたといっていいでしょう。
台風の目となるかダイメイフジ
②着は本紙が▲に抜擢していたダイメイフジ(10番人気)で、こちらはとにかく芝に戻っても、2番手の形から失速した前走を教訓に、ハナに行き切ったことが最大の好走要因でしょう。今回は展開が噛み合った印象ですが、もともとは控えても能力発揮に支障がなく、レース間隔も詰めた方が力を発揮するタイプ。サマースプリントシリーズの台風の目になるかも知れません。
連闘で臨んだ③着ジョーマンデリンは(3番人気)は洋芝適性の高さ、機動力を生かしての健闘。自分が個人予想で◎にしたフィアーノロマーノ(4番人気)は互角のスタートを切ったものの、道中が促しながらの追走。本質的な距離適性というより、今回に関しては経験の差が出た印象を受けました。続けて1200mに出走してくれば慣れが見込めるので、前進は十分に可能と考えています。
⑤着シヴァージ、⑦着エイティーンガールは差しが利く流れか馬場状態、またはコース形態が変われば見直しが必要。⑥着のライトオンキューもドバイが中止、検疫後だったので、次走が真価を問われる一戦となるでしょう。
text by 五十嵐 友二
※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。
【データ泣き笑い】〇前走クラス・・・勝ち馬は前走GⅠ③着、②着馬は前走OP特別で⑭着と大敗したが、当時は4番人気と高い支持を集めていた。そして③着馬は前走3勝クラスで0秒2差をつけて勝利。いずれも上記のクラス別に狙える条件を満たしていた。 〇出走間隔・・・中9週以上間隔が開いての出走で、前走がGⅠ高松宮記念、または阪神芝1400m戦でなかった馬は⑥⑩⑬着といずれも凡退。 |