11月15日に福島競馬場で行われた第56回GⅢ福島記念(芝2000m・3歳以上・ハンデ・晴・良馬場)はバイオスパーク(単勝2番人気)が優勝。騎乗した池添謙一騎手、管理する栗東・浜田多実雄調教師はともに同レース初勝利。またこの勝利で池添騎手は史上6人目となるJRA全場重賞制覇を達成した。バイオスパークは北海道浦河町・小島牧場の生産馬。馬主は宮田直也さん。
それでは、レースを振り返っていきましょう。
【展開・ペース】 大方の予想通りトーラスジェミニがハナを主張し、テリトーリアルが2番手の位置をキープ。3ハロン目からは12秒前後のラップが並び、全体に平均的なペースでしたが、開催最終日の馬場状態を踏まえると、先行タイプも楽ではない展開だったと考えていいでしょう。
キラリと光った鞍上の腕
【レース分析】 勝ったバイオスパーク(2番人気)の最大の勝因は終始、馬群の内を立ち回った池添騎手の好騎乗といって間違いないでしょう。荒れた馬場を苦にしない馬の特性を見事に生かしたレース運びが光りました。
「全10場制覇は少ない人しか達成していないので、それを意識して福島に来ました。レースでもリズム良く運ぶことを頭に入れて、いい形で我慢することができました。もともと折り合いは大丈夫な馬なので、気にしていませんでしたし、②着馬が内にいたので、あとは勝負どころでどう乗るか考えて進めましたが、前が引っ張っていたので、仕掛けどころを間違えないようにしました。内で少し窮屈になるシーンはありましたが、うまくクリアして直線はしっかり伸びてくれました」とコメントした池添騎手も会心の騎乗だったことでしょう。自分の予想に関しては直前の追い切りがあまりにも控えめだったので、評価を下げてしまいましたが、GⅢ函館記念③着などの内容から、小回り向きの機動力を備えていることは分かっていましたから、今後も同様の舞台なら活躍が期待できそうです。
福島では堅実なヴァンケドミンゴ
②着のヴァンケドミンゴ(1番人気)は勝ち馬とコース取りの差の分だけ敗れた印象で、福島コースとの相性の良さは存分に示しました。ただ、騎乗した酒井学騎手はレース後に「今なら他の競馬場でも走れると思います」とコメントしており、前走も阪神のオープン特別で馬群の外を回して③着でしたから、コース替わりの可能性が高い次走も、マークが必要になるでしょう。
積極的な立ち回りで③着だったテリトーリアル(5番人気)は、展開面を考慮すれば中身の濃いレース内容で、復帰戦を勝って当レースに臨んでいた点からも、6歳の秋でも充実期を迎えていると考えられます。④着デンコウアンジュ(12番人気)も直線の伸び脚は目につきましたが、こちらは流れが向きましたし、もともと福島も良績のある舞台なので、次走以降に関しては条件やメンバー次第というところでしょうか。
text by 五十嵐 友二
※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。
【データ泣き笑い】
〇前走クラス・・・勝ち馬は前走がGⅡで0秒6差⑨着、②着馬は前走OP特別④着。しっかりと上記の条件を満たした馬たちが連対を果たした。 〇斤量・・・前走から、勝ち馬と②着馬は1キロ減。ちなみに③着は0.5キロ減。今年は斤量が減った馬が活躍した。増減なしだった馬は3頭出走して⑧着が最高着順。理由は不明だが、不思議と増減なしの馬は結果が出ていない。
《福島記念 2015-19》 |