12月5日に中山競馬場で行われた第54回GⅡステイヤーズS(芝3600m・3歳以上・別定・小雨・稍重馬場)はオセアグレイト(単勝7番人気)が優勝。重賞レースには今回が6度目の出走だったが、ついにタイトルを獲得した。騎乗した横山典弘騎手は1999年にペインテドブラック、2013、14年はデスペラードに騎乗して連覇を果たしており、当レースはこれで6勝目。管理する美浦・菊川正達調教師は2010年にコスモヘレノスで勝っており、当レース2勝目。オセアグレイトは北海道新ひだか町・下屋敷牧場の生産馬。馬主はIHR。
それでは、レースを振り返っていきましょう。
【展開・ペース】 主導権を握ると思われていたダンビュライトが枠順発表前に出走取消。逃げ候補が不在となり、先導役を買って出たのがタイセイトレイルでした。更に外からタガノディアマンテも先行策を取りましたが、競り合うようなことはなく、1000m通過は66秒6のスローペース。例年は2周目の向正面あたりから動く馬もいますが、今回はあまり隊列に変化がなく、ペースUPしたのは残り1000mから。稍重の長距離戦で残り3~2ハロンのラップが11秒台ですから典型的な上がり勝負。流れに乗れた馬、内を通った馬に有利な展開になりました。
冴え渡った名手の勝負勘、手綱捌き
【レース分析】 勝ったオセアグレイト(7番人気)は序盤で好位の内にポジションを確保し、道中は折り合いに専念する理想的な立ち回り。2周目の4コーナー手前から③着馬と併せるようにスパートを開始。ゴール寸前できっちりと前を捉えました。
「初めて乗りましたが、この馬のレースは何度も見ていましたし、中間の調教にも乗せてもらって、気分良さそうだなと思っていました。レースもプラン通りです。道中は随分と元気良く走っていて、抑えるのに苦労したので、その分、手応えほどは弾けなかったですが、最後はよく掴まえてくれました。もともと能力が高そうな馬ですし、この先、大きなところでも頑張ってもらえればと思います」とレース後に横山典弘騎手がコメント。今回の最大の勝因はベテランジョッキーの巧みなレース運びでしたが、確かに早くからステイヤーとしての資質を高く評価されていた馬ですから、今回の勝利を契機に、ひと皮剥ける可能性も大いにあるでしょう。
先々が楽しみなタガノディアマンテ
②着のタガノディアマンテ(8番人気)は2度のノド手術があって、復帰が遅れていたので、当日の評価が高くなかったのは仕方のないところ。それでも3歳秋のGⅠ菊花賞では見せ場を作って⑦着、年明けの万葉S(3000m)を楽勝していた馬ですから、いきなり好走したのも、力通り。この後も順調なら、右回りの長距離戦で活躍が期待できるでしょう。1番人気に支持されて③着だったポンデザールは勝負どころでの反応が勝ち馬よりも鈍く、ルメール騎手は休み明けで3600mだった点を敗因に挙げていましたが、函館の2600mだった前2走と比べると、少しパフォーマンスが落ちていた印象も。まだ、滞在競馬でない時は信頼し切れない感じもしています。
④着のタイセイトレイル(9番人気)は先行策を選択した鞍上の好判断が光りましたが、過去にもGⅡで健闘歴があり、特にハンデ戦に替わった時は要注意でしょう。そして自分が当日版で◎にして、『今日の狙い』でも取り上げていたのが⑤着のヒュミドール(6番人気)。昇級緒戦がGⅡで掲示板に載れば立派ですが、馬群の外を回ることになった分だけ弾けなかった印象もあり、ОPでも通用するという見解は変わりません。次走以降も注目していきたいと考えています。
text by 五十嵐 友二
※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。
【データ泣き笑い】
〇前走クラス・・・好走馬の前走を見ると、勝ち馬はGⅡアルゼンチン共和国杯⑪着、②着馬はGⅢダイヤモンドS⑦着、③着馬はOP特別①着。来年以降、3勝クラス&OP特別組に関しては取捨の基準は上記で問題なし。ただし、GⅡ、GⅢ組は前走着順で評価の上げ下げを行わない方が賢明だろう。 〇京都大賞典組・・・前走が京都大賞典で1桁人気だったシルヴァンシャーは⑨着と凡退。軸馬選びの方法は再考する必要がある。さて、今年はオルフェーヴル産駒が初めて当レースに登場。3頭が出走して①②⑤着だったのには驚かされた。そしてオルフェーヴル産駒の2頭がいわゆるデータクラッシャーの役割を担った。来年以降も同産駒には十分注意したい。
《ステイヤーズS 2015-19》 |