4月24日に新潟競馬場で行われた第18回GⅢ福島牝馬ステークス(芝1800m外回り・4歳以上・牝馬・別定・晴れ・良馬場)はディアンドル(単勝7番人気)が主導権を握ってそのまま押し切って優勝。騎乗した団野大成騎手、管理する栗東・奥村豊調教師とも当レースは初勝利。この結果、ディアンドルがGⅠヴィクトリアマイルの優先出走権を獲得した。ディアンドルは北海道安平町・ノーザンファームの生産馬。馬主は㈲シルクレーシング。

 

それでは、レースを振り返っていきましょう。

 

クラヴァシュドールは出走取消

 

 

【展開・ペース】 スタート後、ディアンドルロザムールカリオストロが自然体で前へ。ロザムールは競り合いを避け、ディアンドルを先に行かせると外へ進路を切り替えて2番手へカリオストロがその外に続きます。前半3ハロン通過は35秒8。レースの入りとしてはゆったり。更に3、4コーナーの部分でも大きな動きはなく、12秒台に減速。直線に向いての上がり勝負となりました。

 

追手を振り切ったディアンドル

【レース分析】 ディアンドル(単勝7番人気)は昨秋以降、マイル、中距離に路線変更。前走のGⅢ小倉大賞典で③着。チークピーシズを着用した効果は大きく、一旦は先頭に立つシーン。最後に交わされましたが、勝ち馬から0秒2差に粘りました。当時(逃げたわけではありませんが)が前半1000m通過が58秒0。今回は同60秒6。馬場の違いはあれど、非常に楽なペースで逃げることができました。それでも、直線に向いてサンクテュエールフィリアプーラと馬体を並べての叩き合いを制し、最後はドナアトラエンテの追い上げもハナ差凌いだのは立派の一語。ご存知の通り、新潟外回りは直線が長く、逃げ切るのは決して容易ではありません。

「他馬が外から凄い脚で来ていたので勝ったか分からなかったですが、よく凌いでくれました。前走からいい時に乗せてもらっています。以前は掛かるところがあったのですが、今日は終始リラックスして走れました。重賞を勝てて嬉しいです」とレース後に団野大成騎手がコメント。唯一、他馬より1キロ重い55キロの斤量を背負っての逃げ切り勝ち。レースぶりを見ても逃げられないと脆いというハナ固執型と違うのも明らか。GⅠヴィクトリアマイルでもスムーズに流れに乗って運ぶことができれば、上位争い可能と見ます。

 

ディアンドルの4代血統表

 

長く脚を使えたドナアトラエンテ

 ドナアトラエンテ(1番人気)は瞬時にギアを上げて加速することはできませんが、ジワジワと確実に伸びるタイプ。その点で前走の中山内回りよりも、新潟外回りコースの方がレースはしやすかったはず。川田騎手は初騎乗でしたが、このあたりはしっかり把握していたのでしょう。前2走の中山戦は直線が短い分、序盤から積極的にポジションを取りに動きましたが、今回はスタート後は急かさずに折り合いを重視しながら中団を追走。なるべくロスを抑えて3、4コーナーをパスし、直線へ。一瞬、サンクテュエールカリオストロが切れ込んできて進路が塞がりそうになりましたが、内回りとの合流点を過ぎて追い出すと、モーセの十戒のごとく、2頭が今度は内・外へ動き、ズバッと前方に視界が広がりました。そこから素晴らしい脚を使いましたが、僅かに届かず。それでも、重賞獲りが可能なところまで力を底上げしていることを証明しました。

 

 

 ③着サンクテュエール(10番人気)は好位に収まり、折り合って追走。勝ち馬に並びかけるところまではいきましたが、最後は伸び負けて③着。1800mは少しだけ長い可能性があります。④着のフィリアプーラ(12番人気)もサンクテュエール同様、前で流れに乗って脚を使いました。残念だったのは⑤着ムジカ(6番人気)。まずスタート後、寄られて後ろから。そして直線では最内に進路を取りますが、前に入られてブレーキ。そこから立て直し、馬場の真ん中へ進路を取ると脚を見せました。次走でスムーズに走れれば巻き返しが期待できるでしょう。4番人気シゲルピンクダイヤは馬込みを捌きながら伸びてきましたが、⑦着。今回に関しては位置取りの差も出た印象。とはいえ、⑦着までは0秒2差にひしめく接戦。決して完敗ではなく、こちらもこの一戦で見限るのは危険です。

 

 

                          

text by 藤原 有貴

 

 

※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。

 

 

 

【データ泣き笑い】

〇前走クラス・・・連対馬の前走を見ると、勝ち馬はGⅢ③着、②着馬はGⅢ中山牝馬S⑨着(0秒9差)。GⅢ中山牝馬S組では完敗を喫したドナアトラエンテが巻き返しに成功。この馬は前走で1番人気に支持されていた。来年以降は着差による取捨をやめるか、GⅢ中山牝馬Sで勝ち馬から0秒6以上離されていても、当時1番人気なら復活させて買い目に加えるようにしたい。

〇前走距離・・・①②着馬はともに前走で1800m戦に出走。前走がマイル以下だった馬はサンクテュエールの③着が最高着順だった。

〇中山牝馬S組・・・福島競馬場の補修のため、急遽、新潟開催となった今年もGⅢ中山牝馬S組が連対を確保。今後も同じようなケースとなった際は同組を馬券の軸に据えたい

 

 

 


 
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