8月21日(日曜)に札幌競馬場で行われた第58回GⅡ札幌記念(芝2000m・3歳以上・定量・晴れ・良馬場)はジャックドール(単勝2番人気)が叩き合いを制して優勝。騎乗した藤岡佑介騎手、管理する栗東・藤岡健一調教師とも札幌記念は初勝利。ジャックドールは北海道日高町クラウン日高牧場の生産馬。馬主は前原敏行さん。
それでは、レースを振り返っていきましょう。
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【展開・ペース】 スタートはユニコーンライオンの方が速かったですが、同厩舎ということもあり、内のパンサラッサにハナを譲るような形。ジャックドールは当初から控える競馬を予定していたようで、5ハロン通過59秒5は古馬GⅡとしては数字的には速いペースではありませんでしたが、良発表でもタフな馬場状態だったのでラストの3ハロンはすべて12秒台。レース上がり37秒7が示すようにスピード+持久力も要求される展開になりました。
【レース分析】 勝ったジャックドール(単勝3番人気)は8キロ増の体重でも太め感はなく、互角のスタートから気合をつけることもせず、馬任せで好位につけて折り合う形。残り4ハロンあたりから軽く促し始めた時の手応えも抜群で、直線を向いてから②着馬に並びかけると、最後まで脚いろは乱れることなく、渋太く粘る相手を捩じ伏せるように押し切りました。
「非常に注目を集めた一戦、秋に向けても大事なレースで、いい結果を出せてホッとしています。パンサラッサが行くのは想定通りでも、ユニコーンライオンの出方がどうかと思っていましたが、想定と違ったのはジャックドール自身が折り合えたこと。それが一番の勝因でした。見た通りタフなレースで手応えに余裕はありませんでしたが、1度出たクビ差を最後まで死守してくれました」とレース後に藤岡佑介騎手はコメント。逃げなくてもレースができることは戦前から言われていましたが、それで高水準のGⅡを勝ち切れたことが大きな収穫でしょう。また、個人的にはフットワークが大きく、本来は広いコースの軽い馬場でノビノビと走る形がベストと考えていますから、秋に向けて更に期待が高まった内容といえます。
②着パンサラッサ(2番人気)は当日版の紙面で自分が◎にしていて、道中はもう少し後続を離しての逃げを予想していましたが、当日の馬場状態を考えればペース自体は適切といえる範囲内。むしろ並びかけられてからの粘り腰は期待以上で、ドバイターフで①着同着や厳しい流れの宝塚記念で大バテしなかった地力を確認できました。③着ウインマリリン(5番人気)はも宝塚記念のレースぶりが悪くなかったので、復調ムードにあると見て△のシルシをつけていましたが、持ち味の機動力を生かして健闘といえる内容。やはりGⅡなら牡馬相手でも互角の評価が必要ですし、今の雰囲気でエリザベス女王杯に向かえれば、3歳秋に④着以上の結果も期待できそうです。
一方、1番人気で⑤着のソダシは戦前、気になっていたスタートや折り合いに問題はなく、勝ち馬をマークするような形でスムーズな競馬ができましたが、追ってからの伸びが今ひとつ。昨年とは斤量も違いましたし、洋芝でタフな馬場状態だと2000mは長かった印象。調教VTRで確認した際の動きは素晴らしかったですから、ベストと思われるマイルの距離で、巻き返しが期待されます。
text by 五十嵐 友二
※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。