1月5日(木曜)に中山競馬場で行われた第72回GⅢ中山金杯(芝2000m・4歳以上・ハンデ・晴れ・良馬場)は1番人気に支持されたラーグルフが優勝。騎乗した戸崎圭太騎手は18年セダブリランテス以来となる中山金杯2勝目。また管理する美浦・宗像義忠調教師は当レース初勝利。ラーグルフは北海道沙流郡日高町スマイルファームの生産馬。馬主は村木隆さん。
それでは、レースを振り返っていきましょう。
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【展開・ペース】 内からフェーングロッテンがハナを奪い、ウインキートス、コスモカレンドゥラが続きました。前半1000m通過は60秒6。馬場を考慮してもペースは遅く、結果は好位を進んだ2頭がワンツー。中団以降に陣取った面々は厳しいレースとなりました。
【レース分析】 パドックに登場したラーグルフ(1番人気)は大変、踏み込みが力強く、2人引きでも落ち着いて周回。3歳時よりもどっしりとしてきたなという印象を持ちました。スタートはゆっくりでしたが、急かすことなく、あくまで自然体で好位集団につけることができました。その分、ペースが落ちてからもムキにならず、折り合って運べましたね。向正面に入るとクリノプレミアムの外で併走する形。クリノプレミアムの手応えは抜群。それをしっかり把握していた戸崎騎手は敢えて外に馬体を合わせて進路が開かないように蓋をします。直線に向くとラーグルフはレッドランメルトの外へ持ち出すことができましたが、内で閉じ込められたクリノプレミアムはなかなか前が開かず、馬込みを捌くのに苦労。2頭の着差は僅かハナ差でしたから戸崎騎手のクレバーかつ冷静な騎乗が呼び込んだ勝利と言っても過言ではないでしょう。
「内枠でもありましたし、ポジションはいいところにつけたいと思っていました。馬が指示に応えて上手な競馬ができました。レースを使う毎の成長を感じていたので、ここもチャンスがあると思っていましたし、期待によく応えてくれました」とレース後に戸崎圭太騎手はコメント。2歳暮れのホープフルSで③着に入ったようにもともとポテンシャルの高さを示していた馬が条件戦を勝ち上がってついに重賞制覇。器用さと機動力を兼ね備えていますから中山コースはピッタリ。モーリス産駒ですから成長力に富んでおり、更なる活躍が期待されます。
クリノプレミアム(7番人気)は2番ゲートから終始、ロスを抑えて立ち回れたものの、痛恨だったのは前述したように勝ち馬に外から蓋をされてしまったこと。更に直線半ばでレッドランメルトの内を突こうとしましたが、これが内にモタれて進路が消滅。仕方なく、外へ切り替えすことに。それでも、一完歩毎に勝ち馬との差を詰めて肉薄。牡馬相手の重賞で勝ち負けしたように6歳を迎えましたが、地力は健在ですね。
フェーングロッテン(2番人気)はプラス8キロでの出走。実が入っていい体つきになっていましたね。果敢に主導権を握るとペースを落とし、しっかり息を入れることができました。好位勢に迫られても渋太く抵抗。僅かに交わされてしまいましたが、存分に力を発揮できました。アラタ(5番人気)、マテンロウレオ(3番人気)が④⑤着。これは連対した2頭より1列後ろを走っていたことと、重めのハンデを課せられた分の差と見ていいでしょう。決して力負けではありません。アラタは体が重かった分、良化余地は大きく、マテンロウレオはトップハンデを背負った経験がが今後の財産に。ハンデ戦らしく勝ったラーグルフから⑨着ラーゴムまでがコンマ3秒差にひしめく大接戦。流れが遅く、枠順やコース取りによる差も着順を分ける要因となりました。今回、着順がひと息だった馬が次走で大きく変わるという事例が多発しそうな気がいたします。
text by 藤原 有貴
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