6月5日(日曜)に東京競馬場で行われた第72回GⅠ安田記念(芝1600m・3歳以上・曇り・良馬場)はソングライン(単勝4番人気)が直線で外から鋭く差し切って優勝。騎乗した池添謙一騎手は2020年グランアレグリアに続いて安田記念は2勝目。管理する美浦・林徹調教師は当レース初勝利となった。ソングラインは北海道安平町ノーザンファームの生産馬。馬主は(有)サンデーレーシング

 

それでは、レースを振り返っていきましょう。

 

 

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【展開・ペース】 レシステンシアが抜群のスタートを決めましたが、これを制して内からウオウアマゾンがハナを奪いました。前半の半マイル通過は46秒7というスローペース。直線に入ると各馬、馬場の傷みがある内側を避けて、外へ広がっての攻防。瞬発力と各ジョッキーの進路取りが明暗を分けました

 

 

【レース分析】 ソングライン(4番人気)はパドックから少しうるさい面を見せていましたが、気持ちがピリッとして、馬体の張りは抜群。脚捌きは素軽く、前走のヴィクトリアマイル以上の状態でしたね。好スタートを決めると他馬の出方を窺いながらジッと脚をためられました。昨年のNHKマイルCで後塵を拝したシュネルマイスターをマークしつつ、外を回ってスパート。サリオスを目標に徐々にギアを上げていき、シュネルマイスターを馬群の中に閉じ込め、最後はきっちりと捉えた。鞍上のエスコートも見事でしたが、中2週でも調整過程でしっかりと負荷をかけて、一段階上の仕上げで臨めた厩舎力も勝因のひとつでしょう

 

▲パドックを歩くソングライン(撮影:yu~kun)中2週での出走でも状態はグンと上向いていた。

 

「何とかこの馬にGⅠのタイトルを取らせたいと思っていましたし、厩舎の期待にも応えたいという一心で騎乗しました。中2週というきついローテーションでしたが、厩舎もしっかり攻めて追い切りを消化し、それにソングラインも耐えて頑張ってくれました。いい形でスタートを切ってくれたので、ポジションを取りにいきましたが、サリオスの動きもあってその後ろで我慢させる選択をしました。前回がうまく乗れなかったので、この馬の持ち味をしっかり出せるよう4コーナー手前から動かしていきました。直線はステッキに応えて頑張ってくれましたし、最後もグイッと伸びて勝ってくれました。ソングラインと林厩舎と一緒にGⅠを取りたいと思っていましたので、勝つことができて本当にうれしいですとレース後に池添謙一騎手はコメント。パートナーの瞬発力、脚力を信じ、早めに外へ持ち出してスパート。結果的にスローペースでしたからブレーキを踏まずに末脚を生かし切った選択が奏功。クレバーでありつつ、腹の据わった攻めた騎乗ができる点も池添謙一騎手の強みであり、また魅力だと再認識させられました。

 

ソングラインの4代血統表

 

 シュネルマイスター(2番人気)は昨年のマイルCSと比較して10キロの馬体増。それでも、数字ほどは太く映らず、手先の運びが軽く、動きには弾力が感じられました。スタートはまずまずで、脚をためて後方待機策。直線は馬群の中を通って、進路取りはスムーズとは言えませんでしたが、ラスト1ハロン付近で前が開くと、目立つ伸び脚で猛追。海外外遠征帰りでしたが、改めて地力の高さは示しましたサリオス(8番人気)は22キロの馬体減でも、もともと大柄ですから細いという印象はありませんでしたが、いい頃の迫力には及ばない印象を受けました。外枠からスムーズなレース運びができたことが好走の要因。ジワッとポジションを上げて、枠なりに馬場のいい外めを通れました。勝ち馬からクビ+アタマ差と見せ場十分の③着でした。

 

 

 セリフォス(5番人気)は多少、行きたがる面を見せましたが、前走時よりも脚をためて運べました。斤量差があるとはいえ、直線は力強い伸び。年長馬相手の安田記念での健闘は立派。改めて高い能力と素質を証明しました。1番人気イルーシヴパンサーは⑧着。田辺騎手は後方で末脚を生かす戦法を取りましたが、今日のようなスローペースでは差し切るのは困難。それでも、直線に向くと馬群を捌いて勝ち馬からはコンマ2秒差。脚力がGⅠ級であることは疑う余地がありません。昨年のマイルCSもそうでしたが、近年、マイルの頂上決戦は落ち着いた流れになることが多い印象。そんな中でGⅠで連対歴のあるソングラインシュネルマイスターはしっかりと脚を伸ばしてきました。この秋は速い流れからの底力勝負が見たいところ。

 

 

 

 

 

 

 

             text by 京増 真臣

 

 

 

 

※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。

 

 

 

 

 

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