3月4日(土曜)に中山競馬場で行われた第18回GⅢオーシャンS(芝1200m・4歳以上・別定・晴れ・良馬場)は2番人気のヴェントヴォーチェが優勝。管理する栗東・牧浦充徳調教師は当レース初勝利。騎乗したC.ルメール騎手は当レース2勝目となった。ヴェントヴォーチェは北海道日高町下河辺牧場の生産馬。馬主はエデンアソシエーション。
それでは、レースを振り返っていきましょう。
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【展開・ペース】 出脚が速かったのはオパールシャルムとレイハリア。一旦、競る形になりましたが、すぐに内のオパールシャルムが引いてレイハリアがハナを切りました。前半3ハロン通過は33秒4。開幕2週目の馬場、重賞であることを加味すると平均ペースと考えていいでしょう。3コーナーを過ぎて馬群が凝縮して直線へ。最後は決め手の優劣、進路取りがスムーズだったかどうかが着順を分けました。
【レース分析】 勝ったヴェントヴォーチェ(単勝2番人気)は昨秋のスプリンターズS以来の出走でしたが、体の張り、毛ヅヤとも申し分なく、気配は良く映りました。序盤は中団を進み、3コーナー過ぎから進出を開始。時折、促しても反応が鈍く、進みが悪いケースはありますが、今回は滑らかに加速してポジションを上げていけました。残り1ハロン付近でキミワクイーンをパスするとそこからも伸びは鈍らず、②着馬に2馬身差をつけました。
「スタートしてから自分のペースで走れて、段々とポジションを上げていけました。凄くいい反応で直線は完全に抜け出せたので、勝てるだろうと思いました。ゴールまで全然止まりませんでした。乗りやすい馬でどこのポジションからでも競馬ができます。今日は楽勝でしたし、GⅠでも期待できると思います」とレース後にコメントを残したC.ルメール騎手とのコンビではこれで2戦2勝。本質的には叩き良化タイプだけに本番に向けて上積みも見込めるはず。前半3ハロンが32秒台だった昨年のスプリンターズSでは最後まで脚が続かず。急流でも余裕を持って流れに乗り、追い上げることができれば高松宮記念でもチャンスがあっていいでしょう。
②着のディヴィナシオン(15番人気)は前走のカーバンクルS⑬着から鮮やかに一変。その前走は行きたがって脚が溜まらず。一転し、今回は最内枠から前を見ながらリズム良く追走。4コーナーで外からキミワクイーン、ヴェントヴォーチェが馬体を併せて進出した直後に出来たスペースを菅原明良騎手は見逃さず、サッと外へ誘導。まったく無駄のない進路取りから、しっかりと脚を使って②着確保。確かに鞍上の好騎乗が光りましたし、同時に内枠の利も生かせましたが、ディヴィナシオン自身、課題の発馬が上達したのも好走に繋がりました。消耗戦より、今回のような決め手勝負も合っていますね。エイシンスポッター(5番人気)は直線半ばでディヴィナシオンの外に持ち出し、ゴール前で③着に浮上。3勝クラスを勝ったばかりでしたが、いきなり重賞でメドの立つ内容。6ハロン戦では前が塞がる不利があった北陸S以外は崩れておらず、相手強化でもしっかりと走るタイプ。今後、強敵が集うGⅠレースでも侮りは禁物かもしれません。
④着はマリアズハート(8番人気)。昨年の当レースは周りを囲まれて進路がなく、追えたのはゴール前だけ。悔しいレースとなりました。今年はスムーズに運んで直線は外から目立つ伸び。前走のシルクロードSは先行、内有利の馬場、今回は決して流れが向かない中でも続けて健闘。7歳でも脚力は健在ですね。1番人気ジュビリーヘッドは⑤着。4コーナーを回り、伸びかけようとしたところで前を走るジャスパージャックとキミワクイーンとの間のスペースが狭くなり、外へ切り替えるロス。上がりの速い決着でしたからこれは痛恨。それでも、②着とは0秒3差ですからそれほど悲観する内容ではありませんでした。ナランフレグ(3番人気)は昨年暮れの香港遠征以来でプラス15キロとやや大きめの造り。直線では十分な進路がなく、少し追い出しを待たされてしまいました。しかも、59キロを背負っていましたから⑨着でもまったく評価を落とす必要はありませんね。本番仕様で臨む高松宮記念ではきっちりと巻き返してきそうです。
text by 藤原 有貴
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