8月27日(日曜)に札幌競馬場で行われた第18回GⅢキーンランドC(芝1200m・3歳以上・別定・曇り・重馬場)はナムラクレア(単勝1番人気)が優勝。管理する栗東・長谷川浩大調教師、騎乗した浜中俊騎手とも当レースは初勝利。尚、優勝したナムラクレアにはスプリンターズSの優先出走権が与えられる。ナムラクレアは北海道浦河町谷川牧場の生産馬。馬主は奈村睦弘さん。

 

それでは、レースを振り返っていきましょう。

 

 

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【展開・ペース】 先手を主張すると思われたレイハリアがスタートで躓いたこともあり、もう1頭のハナ候補だったシナモンスティックが難なく主導権を握る形に。前半3ハロン34秒3は数字上は短距離のGⅢとしては速いペースではありませんが、雷雨の時間帯もあったこの日の馬場状態、更に荒れた内を避けるようなコース取りを考えると全体のペースは速め。道中で逃げたシナモンスティックよりも内を通った馬は伸びを欠きましたし、枠順が内になっていた馬には分が悪く、外の馬の地力比べのようなレースになりました

 

 

【レース分析】 勝ったナムラクレア(1番人気)は休み明けでも増減なしの体重が示す通りに好仕上がり。互角のスタートから中団の外にポジションを取り、あとは鞍上が軽く促して先頭との差が開かないようにする感じ。3コーナー手前から仕掛けた時の反応も良く、不利を受けることのない馬群の大外を進出すると、そのままの勢いで直線もしっかりと脚を伸ばし、熾烈な②着争いを尻目に危なげのない勝ちっぷりを見せました。

 

▲小倉2歳Sから約2年間ナムラクレアに継続して騎乗している浜中騎手。この秋は短距離界の頂点を狙う。

 

 「強かったです。休み明けでもスタッフが上手に仕上げてくれていたので、何の不安もなくレースに向かえました。14番枠からなるべく馬場のいいところ通らせようと思っていましたが、後ろ過ぎると差し切れないケースがあるので、好位からと考えていて、イメージに近いレースができました。3歳だった昨年のスプリンターズSは今ひとつの結果でしたが、今年は春の高松宮記念でも②着に来ていますし、何とかGⅠを獲らせてあげたいです」とレース後に浜中俊騎手はコメント。不良馬場の高松宮記念で好走していたので、天候に左右されない走りは戦前の見込み通りでしたし、力さえ出し切ればGⅢで55キロの斤量だと格が違った印象。本番は相手が強くなりますし、多頭数の中山だと紛れもあるので楽観視はできませんが、もし再び道悪になった場合は馬群もバラけますし、タイトル奪取のチャンスが膨らむことは間違いないでしょう。

 

ナムラクレアの4代血統表

 

 ②着のシナモンスティック(8番人気)はメンバー的に穴は先行タイプと見て、本紙予想でも△をつけていました。ただ、単騎逃げの形でも決して楽なペースではなく、最後に②着争いを制した点からも地力強化、今期の充実ぶりは明らかですし、前でレースを運べる脚質からも、常にマークが必要な存在といえます。トウシンマカオ(2番人気)はフットワークが大きく、道悪は割引と考えていましたが、好スタートから流れに乗る上手な立ち回り。それでも、馬群の中にいたこともあってか、3~4コーナーでは鞍上の手が動いていましたが、そこからも末脚が鈍ることはありませんでした。惜しかったのは最後の進路が馬場の悪い②着馬の内になったことで、直線で勝ち馬と④着馬の間にスペースがあれば、連対圏には届いていたのでは。本番が良馬場ならパフォーマンスUPも期待できそうです。

 

▲大接戦となった②着争いを尻目に力強くゴールを駆け抜けるナムラクレア

 

 ④着シュバルツカイザー(6番人気)も外枠から積極的にレースを運び、終始、馬場のいいところを走らせたあたりは鞍上の手腕。最後まで②着馬を交わせませんでしたが、現時点の力は出し切った印象です。今後は洋芝以外のコースへの対応がポイントになるでしょう。そして、本紙で◎にしていたキミワクイーン(4番人気)は⑦着。道中の行きっぷりから晴雨兼用の見立ては間違っていなかったと思いますが、枠順的に開き直って馬場の最内を通るしかなく、その分だけ伸びを欠いた様子。これは内枠で出遅れて⑩着だったナランフレグ(5番人気)も同様で、今回は参考外と考えた方がいいかもしれません。更に各馬とも次走は特殊な馬場でレースをしたあとになるので、普段よりも中間の状態を注視する必要がありそうです。

 

   

text by 五十嵐 友二

 

 

 

 

 

※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。

 

 

 

 

 

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