2023年4月30日(日) 1回京都4日
2度の坂越えを行う伝統の淀2マイル戦が帰ってきました。今年は序盤59秒7─中盤75秒6─終盤60秒8で3分16秒1。阪神で行われた昨年は60秒5─中盤75秒4─終盤60秒3で3分16秒2でした。全体時計はほぼ同じ。馬場もともに稍重ですが、今年の方が前半が0秒8速くなっています。レースは内からタイトルホルダー、アイアンバローズが出していきますが、それを制して1角までにアフリカンゴールドがハナを奪います。最初の入りは23秒1と短距離戦の並みのラップでした。序盤はアスクビクターモアとディープモンスターを含めた5頭が先団を形成。最終的に前記5頭は二桁着順、または競走中止といった厳しい結果に終わってしまいました。
1周目の1コーナー手前でアフリカンゴールドが心房細動のために徐々に失速。代わってタイトルホルダーがハナへ。2周目の向正面残り1000mでは、まだ前記4頭が先団を形成していましたが、13秒3─13秒2と坂の登りでラップが落ちて馬群が凝縮して一団に。そこから3コーナーの下りを利用して外からディープボンドが進出を開始します。逆にタイトルホルダーは徐々に後退していきますが、手綱は抑えたまま。これは何かあったかなと。そして今度はアイアンバローズが先頭に立ちますが、4角で優々と並びかけるディープボンド。残り1ハロン標手前でジャスティンパレスには交わされてしまいますが、②着は安泰。「プラン通りのレースができたけど、思ったより直線で目標がなくなったのが……」と和田竜二騎手。力を出し切っての春の天皇賞3連続②着だったと思います。なんとか一つタイトルを獲らせてあげたいですね。
2頭の競走中止が出た荒れた第167回天皇賞(春)を制したのは2番人気のジャスティンパレスでした。序盤は枠なりで中団の内を追走し、2周目向正面ではちょうど②着馬を見る位置。そのまま勝負どころはディープボンドについていく形で直線へ。残り1ハロン標手前で先頭に立つと、勢いは衰えることなく後続に2馬身半の差つけてゴール。阪神大賞典でスローの上がり勝負を制して成長した姿を見せてくれましたが、本質的には締まった流れの持久力勝負に強い馬。本領発揮といったところでしょうか。③着シルヴァーソニックは中団の後ろで折り合い重視の競馬。じっくりと脚をためて、坂の下りから少しずつエンジンを吹かして直線へ。最後は外からよく伸びていますが、先に抜け出した2頭を掴まえるまでには至らず。それでも3000m以上では③③③③止①①③と堅実そのもの。
他に掲示板に載った馬ですが、ブレークアップは中団で自身のリズムを重視した競馬。やはりノビノビと走れる長距離戦は合っていると思います。馬群が凝縮した残り1000mでは勝ち馬の後ろ。上位とは決め手の差が出ましたが、いい感じで直線に向いて好内容の④着。マテンロウレオも中団から。スタンド前でうまく内に潜り込みます。こちらは残り1000mで斜め前方に息子二人が見える位置。坂の下りで後退する2頭を外からパスしていきます。いい手応え、いいポジションから4角でインを突いて直線へ。ベテランらしい老獪な騎乗でしたし、操縦性の良さがこの馬の持ち味でしょう。
人気の一角ボルドグフーシュはゲートこそ五分でしたが、そこまで行き脚は速くないですし、無理せず後方から。スタンド前で前にいたシルヴァーソニックをパスして外からポジションアップし、有力どころが見える位置に取りつきました。ただ、この区間は12秒0─12秒0と道中では一番ラップが速い区間。結果論ですが、シルヴァーソニックのようにジッとしていた方が良かったかもしれません。勝負どころでは前にいる勝ち馬を追いかけますが、手応えの違いは明らかでした。アスクビクターモアは菊花賞のレースのテン3ハロンが34秒9で、今回は35秒0でしたが、坂のある分とスタートが今ひとつだった分、今回の方が脚を使ったであろうことは想像に難くありません。「スタートが思ったより出ず、巻き返す形に。その分、道中でハミを噛みました」とは横山武史騎手の弁。アフリカンゴールドが下がった後は、タイトルホルダーの真後ろで狙っていましたが、目標としていた馬が勝負どころで後退する誤算。今回はいろいろと噛み合いませんでした。
※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。