7月28日(日曜)に札幌競馬場で行われた第72回GⅢクイーンS(芝1800m・3歳以上・牝馬限定・別定・晴れ・稍重馬場)は5番人気のコガネノソラが優勝。管理する美浦・菊沢隆徳調教師はクイーンSは2勝目。騎乗した丹内祐次騎手は初勝利となった。コガネノソラは北海道新冠町ビッグレッドファームの生産馬。馬主は(有)ビッグレッドファーム。
それでは、レースを振り返っていきましょう。
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【展開・ペース】 互角のスタートからコンクシェルが気合をつけて先手を主張。1コーナーまではウインピクシスも外に並んでいましたが、競りを避けるように2番手に引いて、そこからは前が単騎で逃げる形に。前半の4ハロンが48秒1に対し、後半は47秒1ですから極端なスローペースではありませんが、2番手以降の馬は緩めの流れ。そのため、4コーナーで馬群の外を回る形になった差し、追い込みタイプには分の悪い展開となりました。
【レース分析】 勝ったコガネノソラ(5番人気)は外めの枠から中団の位置を確保し、スムーズに折り合って1000mを過ぎるあたりから徐々に進出を開始。鞍上が本格的にスパート態勢に入ったのは3コーナーで、勝負どころでも馬群の縁をタイトに回る好騎乗で最後まで脚いろが乱れることはなく、そのままの勢いで前を捉えると、後続の追撃も振り切りました。
「スタート次第でどう乗るか決めるつもりでしたが、まずまずゲートを出ることができましたし、51キロなので多少、外を回っても大丈夫というのもありました。落ち着いて乗って、どこかで動ける位置に行こうと思っていましたし、五分のスタートを切ることができましたからね。手応えもありましたし、攻め馬でずっと乗って、この馬のことは把握していたので、自信を持って仕掛けていきました。攻め馬でもいい脚を使えていたので、自信はありましたよ。凄くバネがあって、凄くいい馬です」とレース後に丹内騎手はコメント。結果的に言い訳にはなりますが、この馬を本紙で無印にしてしまったのは、斤量面、札幌の洋芝は良さそうでも、開幕2週目の芝コースで決め手勝負になった場合は、鋭さの点で少し見劣るかも、と考えたから。前夜からの雨量が予想以上で、雨が上がる時間も予報より遅く、時計のかかる馬場状態になったのは誤算でしたが、外枠でもロスのない立ち回りでレースを運んだ鞍上の手腕にも脱帽です。東京のスイートピーSを勝った時も自身の上がりは34秒1でしたから、まだ瞬発力勝負には課題が残りますが、今後も適度に時計、上がりを要す設定なら、重賞でも勝ち負けが期待できそうです。
②着ボンドガール(1番人気)は、こちらが想定していたより後ろの位置取りでしたが、とにかく折り合いを優先したようで、うまく道中もためが利いている感じ。勝負どころからも馬群の中を突き、勝ち馬を追うように脚を伸ばして、最後はアタマ差まで迫りました。滞在競馬の効果もあるでしょうが、初めての1800mで差しに転じて、鋭い末脚が使えた点は大きな収穫。今後の選択肢も広がりましたね。③着アルジーヌ(7番人気)は序盤から積極的に好位につけて、道中も内々を回り、今回の展開ではベストといえるレース運びで健闘。それでも母や伯母が古馬になってからも活躍している血筋ですし、この馬自身もレベルUPして、軌道に乗ってきたと判断していいでしょう。
④着ドゥアイズ(3番人気)はペースが落ち着いて、外枠や①②着馬とは斤量差が影響した様子。外を回って0秒1差ですから力負けではありませんが、重賞になると相手なりな反面、もうワンパンチ足りない印象も残りました。⑤着コンクシェル(6人気)は自分の形で競馬ができましたし、着差も僅かでしたが、結果的には少し道中のペースを落とし過ぎた感じも。平均的な流れで少し後続を離すような逃げなら、もっと際どい勝負になったかも、というのが正直な感想です。そして、本紙で◎にしたイフェイオン(4番人気)は⑦着。現状、脚をためて切れる印象ない馬ですから出遅れは応えましたが、まだレース間隔を開けると落ち着きを欠く様子。気性面の成長が待たれます。1番人気で⑩着のウンブライルは小回りの1800mが課題と見て△に評価を下げていましたが、不安が的中してしまった格好。広いコースのマイル戦で見直すべきでしょう。
text by 五十嵐 友二
※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。