悪夢を乗り越え、府中で笑う

 2017年6月11日(日)3回東京4日目11R 第34回エプソムカップ(GⅢ)は、単勝5番人気のダッシングブレイズ(父キトゥンズジョイ×母ブレイジングブリス)が優勝。昨年の東京新聞杯では1番人気に支持されながらも直線で落馬し、競走中止の不運に。それ以降、重賞ではなかなか結果を出せず。そんな雌伏の時を経て、因縁の東京コースで重賞タイトルを手にしました。レース後に浜中俊騎手が「またこの馬で頑張りたいと思っていた。祈りが叶って本当に良かった」とコメントしていたのも印象に残りました。

それでは、レースラップです。

勝ち時計 1分45秒9

前・中・後半3F 36秒135秒3→34秒5

12.8 – 11.4 – 11.9 – 12.1 – 11.5 – 11.7 – 10.8 – 11.6 – 12.1

 

 ハナを切ると予想していた最内のマイネルミラノがスタート後に控えたことで、同じ勝負服のマイネルハニーが先導する形に。前半1000m通過は59秒7と重賞にしては速くはないペース。逃げるマイネルハニーは終盤に差し掛かるラスト3F目に10秒8という速いラップを刻み、後続を突き放して馬場のいい外目へ進路を取ります。柴田大知騎手は絶好のタイミングで仕掛けたと思います。最後は後続の目標になった分もあって残り100mを過ぎて内、外から交わされてしまいましたが、3着は確保。小倉大賞典の大敗を引きずらず、キッチリ立て直しに成功。昨年はGⅢチャレンジカップを勝っている実力馬で今後も活躍が期待できそうです。

 勝ったダッシングブレイズは差し・追い込み脚質ですが、今回はスタート後、積極的に好位のポジションを取りに動いた浜中騎手の判断が勝因でしょう。直線に向くと馬群が外へと広がる中で、2番手を進むマイネルミラノの内に進路を取ります。馬場の真ん中よりも少し内のあまり傷んでいないギリギリの部分を通っての鮮やかな差し切り勝ち。進路取りに関しても鞍上の好プレーが光りました。

 2着アストラエンブレムは先行集団の中で道中は折り合いに専念。直線もスムーズに運べましたが、あと一歩が足りませんでした。2歳時からグレードレースで差のないレースを続けているように能力が高いのは間違いありませんが、自分から走るのをやめてしまうように気性的なものが重賞での勝ち味の遅さにつながっている印象です。

text by 京増真臣/構成・藤原

 

※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。