勝負は一瞬

 2017年12月16日(土)5回中山5日目11R第3回ターコイズステークス(GⅢ)は、単勝5番人気に支持されたミスパンテール(父ダイワメジャー×母エールドクラージュ)が優勝。ダイワメジャー産駒は今年JRA重賞4勝目。春のダービー卿チャレンジトロフィーをロジチャリスが勝ちましたが、今回の結果を見てもやはり中山芝1600mとは相性がいいですね。管理するのは栗東・昆貢調教師。騎乗した横山典弘騎手は初騎乗でしたが、ミスパンテールの切れ味を上手に引き出し、接戦をモノにしました。

 重賞に格上げされて3回目。データ的側面から話をしますと1、2回目は劣勢だった前走準オープン組が今年はワンツー。来年以降は同組の取捨をどうするか悩むところ。ただ、一昨年から一貫しているのが・・・。

15年

①着 シングウィズジョイ 11番人気 (前走 秋華賞⑩着)

16年

①着 マジックタイム 1番人気 (前走 マイルCS⑧着) 

②着 レッツゴードンキ 6番人気 (前走 JBCレディスクラシック②着)

17年

③着 デンコウアンジュ 7番人気 (前走 エリザベス女王杯⑬着)

このように毎年、前走GⅠ組が必ず好走。今年、該当馬は3頭いましたが、その中で最も人気がなかったデンコウアンジュが③着。来年も前走GⅠ組を絡めて馬券を組み立てたいですね。

 

それでは京増TMにレースを振り返ってもらいましょう。

 

勝ち時計 1分34秒2(曇り・良)

前・後半3F 35秒9 34秒7

12.5 – 11.6 – 11.8 – 11.8 – 11.8 – 11.7 – 11.2 – 11.8

【展開・ペース】

 好スタートを決めたリエノテソーロがハナを奪い、ペイシャフェリスが2番手に控えたことで半マイル通過は47秒7のスローペース。勝ち馬から⑭着オートクレールまで僅か0秒4差。瞬発力の優劣と背負っていたハンデが明暗を分ける形になりましたね。

直線半ばで1頭分、開いた狭いスペースを突いてミスパンテールが鋭く抜け出す

 

【レース分析】

 勝ったのはミスパンテール。何といっても鞍上の横山典弘騎手の手腕が光りましたね。遅い流れでも慌てず騒がず、馬のリズムを優先し。ジックリと我慢して追走。これが終いの伸びにつながりました。直線は前を行くディープジュエリーが内へ動いて出来た僅かなスペースを見逃さず、縫うように馬群を抜け出すと、鮮やかな差し切り勝ち。もともとテンションの上がりやすいタイプですが、パドックでは我慢して周回。休み明けだったチューリップ賞で②着に好走した素質馬が軌道に乗ってきました。

勝利に導いた横山典騎手は「パドックから少しテンションが高かったんですが、返し馬では落ち着いていました。ゲートを出て、いい位置につけられたように自分が思っていた通りのレースができました。この馬の良さは切れ味の凄さ。テンションが落ち着いてくれば、もっと凄いパフォーマンスが見せられるのではないでしょうか」とコメント。名手に「凄い」と言わしめた切れ味は一級品。談話にもある通り、今後は平常心でレースに臨めるかがポイントになりそうです。

 

ミスパンテールの4代血統表 産駒が中山マイルを得意としているダイワメジャーの産駒

 

 ②着フロンテアクイーンは、直線に入って馬群の中で包まれ、追い出しを待たされましたが、残り100mで進路を確保すると、スッと抜け出して一旦先頭。最後は勝ち馬の瞬発力に屈しましたが、3歳時のクイーンC、今年の福島牝馬Sで連対した高い能力を改めて示しました。パドックでは少しうるさいんですが、以前に比べれば落ち着きが出てきたし、今回は馬体をフックラ見せて気配は良く映りました。「追い出すのを待って、いいタイミングで前が開いたので、これならと思いましたが、勝った馬の切れ味が凄かったですね。調子も良かっただけに残念です」と北村宏司騎手。敗れはしましたが、賞金加算には成功。重賞タイトル獲得ももう目前ですね。

 デンコウアンジュは、外を回るコースロスがありながら、メンバー最速の上がりを駆使して③着。上位2頭より2キロ重い55キロを背負っていながらクビ+ハナ差ですから、勝ちに等しいレース内容だったと思います。成績はムラですが、やはり力がありますね。関東圏への輸送で、馬体を減らさなかったことも好走の要因じゃないでしょうか。

 ラビットランは、④着に敗れたとはいえ、着差は僅か。それに3歳牝馬ながら55キロを背負わされていたことを考えれば立派と言えます。また秋華賞以来の分、多少、気負っていたとM.デムーロ騎手はコメント。こちらは来年、更なる飛躍を期待したいところ。

 ◎を打ったワンブレスアウェイは、スタートで出遅れたのが致命傷に。予想通り、流れが落ち着いて先行勢に有利な展開になっただけに、タラレバですが、本来の先行策が取れていれば好結果を残せていたはず。今回は参考外と考えていいでしょう。

 

 text by 京増 真臣/構成・藤原

 

 

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