10月31日に東京競馬場で行われた第9回GⅢアルテミスS(芝1600m・2歳・牝馬限定・馬齢重量・晴・良馬場)はソダシ(単勝1番人気)が優勝。前走で白毛馬として初めての芝の平地重賞制覇を果たした純白のヒロインがデビューから無傷の3連勝を達成。騎乗した吉田隼人騎手はアルテミスS初勝利。また管理する栗東・須貝尚介調教師にとっては2012年コレクターアイテム以来となる同レース2勝目となった。ソダシは北海道安平町・ノーザンファームの生産馬。馬主は金子真人ホールディングス(株)。

 

それでは、レースを振り返っていきましょう。

 

 

【展開・ペース】 ソダシは好スタートを決めましたが、内のオレンジフィズにハナを譲り2番手に控えました。隊列が決まるとペースは緩み、前半の半マイル通過は48秒6(後半は46秒3)。スローペースでしたから、いかに道中で折り合って運べたかどうか、そして瞬発力の優劣が勝敗を分けたと見ていいでしょう。

 

 

課題をクリアし、純白の馬体が躍動

【レース分析】 今回、ソダシには3つのクリアしなくてはならない課題があると考えていました。ひとつめは輸送。デビューからの2戦は現地滞在で臨み、勝利していたソダシ。繊細さの残る2歳牝馬ですから初めてとなる輸送がどうかと心配しましたが、パドックではイレ込むことなく落ち着いて周回。ソフトな最終追い切りを消化するなどし、対策は万全。さすが幾多のGⅠホースを輩出した須貝尚介厩舎ですね。

次は折り合い。GⅢ札幌2歳Sに続いて、外枠からの発走。しかも、前走とは違い、序盤はゆったりした流れでしたが、前に壁を作れない形の2番手でも我慢が利いていました。センスの良さに脱帽するしかありません。最後のひとつは長い直線での上がり勝負への対応でしたが、終わってみれば後続を寄せ付けずに完勝。最速の上がり3ハロンは②着ククナの33秒4。そんな中でソダシは先行し、33秒9の上がりでまとめたのですから他馬は差を詰めるので精一杯。すべての課題をクリアする満点のレースぶりでした。

 

ソダシの4代血統表

 

「テンションが高くなってきたので、折り合いがうまくいくかどうかがポイントだと思っていました。ゲート内でも気が入り過ぎていましたが、出てからはこちらの指示を待っているような感じで、いい雰囲気で走っていましたね。瞬発力比べになるのが嫌だったので、自分から先頭に立って抜け出すレースをしました。完成度の高い馬を任せてもらって、これで3連勝といい結果を出せてホッとしています」吉田隼人騎手。タフな洋芝の1周競馬でも、東京マイルの上がり勝負でも結果を出しました。ベストの条件はどこなのか?もしも、ダートを使ったら、などなど興味は尽きませんね。まだまだベールに包まれた部分が多く、純白の馬体が神秘的であり、またミステリアス。魅力とスター性を兼ね備えたソダシから今後も目が離せません。

 

敗れたが、収穫多かったククナ

 ②着はククナ。前走はラスト2ハロンが11秒4→11秒1という瞬発力勝負を制しての勝利。私自身、東京の長い直線がフィットするとは感じていましたが、8、9頭立ての経験しかなく、多頭数を不安視して評価を下げていました。レースは密集した馬群の中を進みましたが、ゴチャついたこともあって向正面でポジションを下げる場面。しかし、馬込みの中でもパニックにはならず脚が溜まっていました。直線に向くとジワジワと外へ持ち出し、追い出すと素晴らしい伸び。敗れはしましたが、今後に向けて収穫の多い一戦だったはず。追って味があり、距離は延びても問題なさそうです。

 

 

 ③着はテンハッピーローズ。直線に向いてからも手応えに余裕があり、先に仕掛けた面々が苦しくなってからも伸びは鈍らず。前走のサフラン賞は外が伸びる馬場の恩恵を生かしての好走でしたが、長く脚を使っての健闘で能力の高さをアピール。上位2頭よりはひと回り小ぶりな馬体ですから、まだまだ成長余地は十分。もう1頭気になったのはクールキャット。直線半ばで進路が開いてからグングンと加速し、ゴール前は目立つ伸び。加速に時間はかかりますが、いい決め手がありますね。母系はメジロ血統。距離が延びて大化けする可能性が大きく、今後も注目したいですね。

 

 

 

 

                                 text by 藤原 有貴

 

 

※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。

 

 

 

【データ泣き笑い】

〇前走クラス・・・勝ち馬が前走GⅢ①着、②着馬は前走が芝1500mの未勝利戦で0秒2差をつけて①着。15年以降、連対例がなかった重賞組が優勝。ただ、GⅢ札幌2歳Sでソダシの②着に駆けたユーバーレーベンは⑨着だから重賞組で連対を狙えるのは前走で勝利した馬だけとハードルは高い。また未勝利組に関しては前走着差の縛りを0秒6→0秒2と緩める必要がありそうだ。

 

 

《アルテミスS 2015-19》

 

 


 
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