第71回アイルランドＴ府中牝馬Ｓ回顧

　10月14日（土曜）に東京競馬場で行われた第71回ＧⅡアイルランドトロフィー府中牝馬S（芝1800ｍ・3歳以上・牝馬・別定・晴れ・良馬場）はディヴィーナ（単勝1番人気）が優勝。管理する栗東・友道康夫調教師、騎乗したM.デムーロ騎手ともに当レースは2勝目。ディヴィーナは北海道安平町ノーザンファームの生産馬。馬主は佐々木主浩さん。

それでは、レースを振り返っていきましょう。

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【展開・ペース】　逃げ馬不在。押し出されるようにしてディヴィーナがハナを切りました。前半の1000ｍ通過は60秒0というスローペース。2番手以降が牽制し合ったこともあって、後続が離れたことで、ディヴィーナにとっては楽な逃げになりました。

【レース分析】　ディヴィーナ（1番人気）はパドックで落ち着きがあり、気性面の成長が感じられました。関屋記念と同様にしっかりとスタートを決めて前へ。テンにコスタボニータと並走になったことで、少し力みはありましたが、ハナに立ってからは収まりがつき、4コーナーでは3〜4馬身ほどリードを築いて直線へ。今回に関しては展開の恩恵を生かせましたが、今の充実ぶりならビッグレースでもチャンスがありそうです。

　「稽古でも難しいところを見せる馬なんですけどね。今日のレースでもコントロールが難しく、掛かり気味に先頭に立ちました。それでも、押し切ることができて良かったです。ここまで、惜敗が続いていましたが、それでも、乗せていただいたことにはとても感謝しています。もっと長い距離もこなせる馬だと思いますよ」とレース後にM.デムーロ騎手はコメント。ディヴィーナの母は現役時代にヴィクトリアマイルを連覇したヴィルシーナ。兄ブラヴァスに続き、妹も重賞制覇を成し遂げました。

▲ディヴィーナの4代血統表

　ルージュエヴァイユ（4番人気）は活気に溢れた周回で、馬体もきっちり仕上がっていました。前走のエプソムCは、外枠で挽回が利きましたが、もともとスタートはあまり速くないタイプ。5番ゲートだった今回は後方に控え、3コーナーあたりからジワッと進出を開始しました。外を回りながらも、直線はメンバー最速の上がりを駆使して勝ち馬にハナ差まで肉薄。勝ちに等しい②着と言え、最も中身の濃いレースをしていたのは間違いありません。ライラック（10番人気）は体重を増やして馬体が良化。テンションも上がっていなかったのも好感が持てました。ジッと脚をためて中団追走。直線で進路を確保してからは、目立つ伸びでしたし、次走予定はまだ分かりませんが、エリザベス女王杯であるならいいレースができました。

フィアスプライド（11番人気）は馬体の張りが抜群で、身のこなしは滑らか。クイーンＳを除外され、札幌への輸送を挟んで臨んだ関屋記念より、状態は上でした。敢えて1列下げ、じっくりと脚を温存。直線は②着馬のあとを追うように脚を伸ばし、見せ場を作りました。プレサージュリフト（2番人気）は体に無駄肉がなく、脚捌きもシャープ。仕上がりは良かったですね。最初の1完歩目が今ひとつでそのまま後方待機。直線でライラックに寄られ、少し追いづらいシーンはありましたが、今日は展開が向かなかったことも大きかったですね。

◎に推したシンリョクカ（3番人気）は20キロ体が増えて成長。フットワークも軽やかでした。11番ゲートから外を回らされて前に壁を作れず。脚がたまらなかった印象。今日は展開も不向き。叩いた次走で改めて期待したいところです。

text by 京増真臣