第84回皐月賞回顧

　4月14日（日曜）に中山競馬場で行われた第84回ＧⅠ皐月賞（芝2000ｍ・3歳・馬齢重量・晴れ・良馬場）は2番人気に支持されたジャスティンミラノが優勝。管理する栗東・友道康夫調教師、騎乗した戸崎圭太騎手とも当レースは2勝目。ジャスティンミラノは北海道安平町ノーザンファームの生産馬。馬主は三木正浩さん。

それでは、レースを振り返っていきましょう。

▲ダノンデサイルは競走除外に

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【展開・ペース】　今年の皐月賞は、メイショウタバルが主導権を握ると、後続を離して先導。前半1000ｍ通過57秒5という超ハイペースで飛ばし、まったく流れが緩みませんでした。結果はコースレコードとなる1.57.1で決着。展開、この勝ち時計が勝敗を分けるポイントにもなりました。

【レース分析】　ジャスティンミラノ（2番人気）はプラス10キロでも太め感はなく、一段と重厚感が増し、脚捌きは滑らか。未経験の超ハイペースでしたが、5番手で流れに乗って運べたあたり、やはりレースセンス、操縦性は高いですね。4コーナーでの手応えが今ひとつ。ペースの違いから追走に脚を使ってしまったのかと感じましたが、直線に向くと先に抜け出したジャンタルマンタルを目がけて、渋太く伸びてこれを交わすと、コスモキュランダの追い上げを振り切って優勝。昨年のソールオリエンスに続き、今年も無敗の皐月賞馬が誕生しました。シックスペンスと対決するであろう日本ダービーが今から楽しみですね。

　「前走が強い内容だったので、馬を信じて騎乗しました。道中はいいリズムで行けたし、３、４角で少し戸惑いましたが、そこからしっかりとハミを取ってくれましたね。初めての課題もクリアしてくれたように、ポテンシャルが高い馬。ダービーに向けて、更にパワーアップしてくれると思うので楽しみです。２週前、１週前は康太（藤岡康太さん）が攻め馬に跨って、そのたびに細かく状態を教えてくれました。最後のあと押しは康太のおかげだったし、喜んでくれると思います。康太、ありがとう。本当にお疲れさまでした」とレース後に戸崎圭太騎手はコメント。未知のペース、初めての右回りなどクリアすべき課題は多かったわけですが、これをあっさりとクリア。反応の鈍さを見せるなどいい意味で遊びが残っており、追ってからもしっかり。2400ｍも克服可能に思え、コントレイル以来となる無傷での2冠制覇が期待されます。

▲ジャスティンミラノの4代血統表

　コスモキュランダ（7番人気）はチークピーシズを着用していますが、とても集中力がありました。柔らかい身のこなしも目立ち、デキは前走以上。弥生賞のレースぶりから、序盤は後方を進むのかと予想していましたが、中団で脚がたまり、直線はジャスティンミラノに鋭く迫りました。このあたりはさすがモレイラ騎手。大幅にタイムを短縮し、レコード決着のクビ差②着。大変、スタミナも豊富ですから、日本ダービーでは逆転もありそうです。ジャンタルマンタル（3番人気）は2人引きでも堂々と落ち着きがあって、一歩一歩も力強く、気配は申し分ありませんでした。ハナを切ってもいいくらいの飛び出しから、メイショウタバルに先手を譲ると、3番手で折り合いに専念。これだけのハイペースですから、すぐに収まりがつきました。直線は敢然と先頭に立ち、2〜３馬身ほどリードを広げて勝ちパターンに持ち込みましたが・・・。最後は距離適性もあったのか上位2頭に交わされましたが、2歳チャンプの地力は示しました。馬場傾向、共同通信杯でジャスティンミラノを差せなかった点も考慮した川田騎手の好騎乗も光りました。

　アーバンシック（6番人気）はテンションが上がらず、体もグッと締まっており、心身ともに成長が感じられました。横山武史騎手が「もう2列くらい前の位置が欲しかったけど、まだ成長途上でゲートを出られず、思ったポジションが取れなかった」とコメントしたように、馬群が縦長になって位置取りの差が出てしまいました。それでも、④着に追い上げて能力と脚力はアピール。シンエンペラー（5番人気）はよく言えば体をスカッと見せますが、陣営のコメント通り、良くなるのは古馬になってから。いくらかまだ成長が物足りない印象を受けました。そんな状況下でも、ジャスティンミラノをマークしながら見せ場は作ったように素材の良さは確かですね。レガレイラ（1番人気）は馬体に無駄肉がなく、全身を使って弾むような動き。気配は絶好。⑥着のレガレイラまでが従来の皐月賞レコードを更新。直線は伸びていましたが、ペースが緩まなかったことで、3～4コーナーの勝負どころで差を詰められませんでした。とはいえ、上位入線を果たした面々はいずれも高性能。舞台が替わる日本ダービーでもハイレベルな争いが繰り広げられそうです。