2017年10月22日(日) 4回京都7日11R 第78回 菊花賞(G1)は、秋雨前線や台風の影響で雨中での決戦となりました。ダートでは8Rのなでしこ賞でレコードが出ましたが、芝は1800mの堀川特別が1分52秒5、1200mの桂川Sが1分12秒1と非常に時計のかかる馬場。ここまで悪い馬場は滅多におめにかかることができません。メインの菊花賞も3分18秒9という例年より10秒以上遅い決着になりました。優勝は1番人気に支持されたキセキ。鞍上のM.デムーロ騎手は今年4つ目のG1勝ち。石川達絵オーナーは初めての重賞勝ちがG1という快挙です。ルーラーシップ産駒もこれが重賞初勝利。第一世代からG1馬が出ました。では、レースラップへ。

2017年

3:18.9(13.2 – 12.6 – 12.0 – 13.1 – 13.2 – 13.5 – 14.5 – 14.3 – 13.5 – 13.0 – 13.1 – 12.9 – 13.4 – 12.7 – 13.9)

過去10年平均

3:04.0(12.9 – 11.8 – 11.7 – 12.2 – 11.8 – 12.2 – 13.1 – 12.9 – 12.6 – 12.6 – 12.6 – 12.0 – 11.7 – 11.9 – 12.0)

 今年は稀にみる泥んこ馬場でして、平均と比べて14秒9も遅い時計になりました。単純に比較はできませんが、仮に全体で15秒かかったとして、3000mは15ハロンですから例年より1ハロン1秒を要したとしましょうか。それを補正したのが以下のラップ。

3:03.9(12.2 – 11.6 – 11.0 – 12.1 – 12.2 – 12.5 – 13.5 – 13.3 – 12.5 – 12.0 – 12.1 – 11.9 – 12.4 – 11.7 – 12.9)

 テンがかなり速かったことが分かりますね。そのまま締まったペースで流れて、1コーナー手前から徐々に減速し、コーナーでは13秒5、13秒3(実際は14秒5、14秒3)と平均より遅いぐらい。ですが、坂の登りにあたる残り1200mから12秒0、12秒1、11秒9(実際は13秒0、13秒1、12秒9)とかなり速い段階で再びペースが上がっています。その上で直線に向いて11秒7(12秒7)!凄いです。最後の1ハロンは12秒9(13秒9)とバタバタになり、死力を尽くしたレースだったことがお分かりいただけますでしょうか。文字通り死闘でした。

 レースはプラチナヴォイスが大きく出遅れ。ブレスジャーニーサトノアーサーキセキも出遅れて後方から。キセキはレース後のM.デムーロ騎手のコメント通り「折り合いに専念」したレース運び。結局このタフなレースで力を温存した走りが結果に結びつきました。ただ、この2馬身差は完勝。予想で書いたように道悪、距離がプラスとはいえないが、能力の絶対値が上という見立てもあながち間違っていなかったかなと。クリンチャーは今回もゲートから押して押して、それでもポジションを取ることができず、後方から。1周目のスタンド前で馬群の外に出していきます。まずペースが緩んだところで無理なく押し上げられたのが良かったですね。動いたのは向正面1800mを過ぎたあたりから。3角過ぎには好位の外につけて、直線に向いた時にはダンビュライトと並んで先頭へ。我慢比べの流れが向いていたとも言えますが、勝ち馬と同じでかなり外を回っており、ロスは大きかったですし、この流れで早めに動いて最後まで渋太く走って粘った内容は高く評価できます。

 ポポカテペトルは位置を取りにいこうとしてスタートを出していきましたが、そのためか引っ掛かって道中はなだめるのに苦労していました。それでも、4角の手応えは悪くなかったですし、勝負どころの立ち回りは一番うまくいったと思います。このスタミナには舌を巻きました。マイネルヴンシュは後方からじっくりとレースを進めていく形。向正面でペースが上がった時には手が動いていましたが、勝負どころは前を行く勝ち馬を追いかけ、4角では内に並びかけていきました。残り1ハロンで前をいく3頭をかわして④着でゴール。

 序盤で行きたがっていたのが最後に影響した感じのダンビュライトミッキースワローもスタンド前でかなり頭を上げていました。皐月賞馬アルアインは2番人気。道中はずっと前を行くダンビュライトをマークする形。折り合いはついていましたし、直線に向いた時の手応えも悪くなかったと思います。それでも伸び切れなかったのは距離の壁もあったでしょうか。

 全般的にはスタミナが最も重要なファクターとなった競馬で、前半に無理をしなかった馬が上位へきた印象です。そして、その中でも馬場を意識して早めに仕掛けることなく、自分の馬を信じてスタイルを貫いた者に栄冠が輝きました。

text by 小林 

※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。