唸る末脚!初挑戦で一発回答

 

 2018年3月31日(日)3回中山3日目11R第50回ダービー卿チャレンジトロフィー(GⅢ)。勝ったのは単勝4番人気に支持されたヒーズインラブ(父ハービンジャー×母シーズインクルーデッド)。兄は17年、GⅢ新潟記念を制したサンデーウィザード。重賞競走には初挑戦だったが、藤岡康太騎手とのコンビでいきなり結果を出してみせた。生産は安平のノーザンファーム。馬主は(有)シルクレーシング。管理する藤岡健一調教師は16年のセントウルS(ビッグアーサー)以来となるJRA重賞14勝目を挙げた。

 

それでは京増TMにレースを振り返ってもらいましょう。

 

勝ち時計 1.32.2(晴・良)

前半4F → 後半4F 46.2 → 46.0 (Mペース)

12.5 – 10.9 – 11.6 – 11.2 – 11.2 – 11.3 – 11.9 – 11.6

 

パドックを周回するヒーズインラブ。(Photo by yu~kun)

 

【パドック】

 ビーズインラブは522キロとかなりの大型馬だが、馬体はシャープに研ぎ澄まされて好調ぶりが感じられた。昨年の②着キャンベルジュニアはプラス10キロ。数字通り、少し立派に見えたものの、休養を挟んだことで心身ともにリフレッシュし、力を出せる仕上がり。ストーミーシーは馬体が絞れていたのに加え、力強い周回。マルターズアポジーは好調時の雰囲気。気配は良く見えた。

 

【展開・ペース】

 好発を切った内のキャンベルジュニアを制すようにして外からマルターズアポジーがジワッとハナへ。前半800m通過が46秒2。淀みなく流れたが、短距離タイプのソルヴェイグが抑え切れない感じで、並びかけてきたためマルターズアポジーは息を入れづらく、残り1ハロン付近で馬群に飲み込まれて失速。厳しい展開だった。

 

【レース分析】

 ヒーズインラブ中団馬群で折り合いをつけてジックリ脚を温存。3~4コーナーで馬群が凝縮したため、窮屈になったが、狭いスペースを瞬時に抜け出し、重賞初挑戦ながら見事に優勝。昨年のこの時期も連勝しているように暖かくなって調子を上げるタイプという印象。トップハンデのマルターズアポジーより3キロ軽い斤量が味方したのは間違いないが、それにしても切れに切れた。これで6戦3勝と中山マイルもピッタリ。

「後ろ過ぎない中段のポジションで運べて、4コーナーでの手応えも良かったです。直線に入ってスペースが狭くなったんですが、坂を駆け上がってよく頑張ってくれました。この馬は一瞬の脚が素晴らしいですね。力を付けてもいます。先のGⅠに向けて、もっと良くなってくれると思います」と藤岡康太騎手。馬場差はあれど、4年前のモーリス(ハンデ55キロ)と同じ1.32.2という優秀な勝ちタイムをマーク。今後の走りからも目が離せません。

 

ヒーズインラブの4代血統表

 

 キャンベルジュニアは2,3番手を進み、正攻法で一旦は抜け出して先頭。差し、追い込み勢が掲示板を占めた点からも非常に中身が濃かった。ダービー卿チャレンジトロフィーは3年続けての出走だったが、好タイム決着にも対応したように地力強化は明白。休み明けだった分、叩いて臨む次走は、状態面の上積みも見込め、期待が持てる。

 

馬と馬の間を割り、ヒーズインラブが鋭く抜け出した!

 

 ストーミーシーは後方待機策。いい脚が長続きしないタイプだけに最後は坂を上がって勢いが鈍ったが、前2頭に迫った。戦歴を振り返ると16年のGⅡニュージーランドトロフィーでほぼ最後方から追い込んで②着。腹を括り、直線勝負に賭けた大野騎手の決め打ちが奏功し、能力を引き出した。テオドールはゲートを出たなりのポジションで、折り合いに専念。直線は馬群を捌きながら伸びており、気性面を考えれば、マイルの速い流れはマッチするよう。1番人気グレーターロンドンは、先行して伸びを欠いた東京新聞杯の轍は踏まぬように、道中は後方を追走。ロスなく運んで直線は内を突いたものの、馬群が密集したため、上手に捌けず。今回は内枠がアダとなり、脚を余してしまった。

 

text by 京増真臣/構成・藤原

 

 

  

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