5回東京8日目11Rに行われた第38回GⅠジャパンカップは1番人気に支持されたアーモンドアイが優勝。勝ちタイムは2005年にアルカセットがマークした2分22秒1を1秒5も凌ぐ2分20秒6という驚異のコースレコード。3歳牝馬によるジャパンカップ制覇は2012年のジェンティルドンナ以来、史上2頭目の快挙。鞍上はC.ルメール騎手。管理するのは国枝栄調教師。アーモンドアイは北海道安平町・ノーザンファームの生産馬。馬主は(有)シルクレーシング。通算成績は7戦6勝。

それではレースを振り返っていきましょう。

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【展開・ペース】

 好スタートを決めたキセキが自然体でハナへ。積極策が予想された8枠のウインテンダネスノーブルマーズは競り込むことは避け、先行集団で流れに乗った。1~2角で12秒台のラップが出現したが、そこからキセキはジワッとペースを上げて11秒台の緩みのないラップを刻み続ける。レース後半は更に加速。後続も追走に脚を使わされて地力を問われる厳しい流れとなり、驚きの2分20秒6という世界レコードが飛び出した。

【レース分析】

 この日は東京の芝コースは3Rの芝2000m戦で2歳レコードが飛び出し、8Rのオリエンタル賞は1分44秒7という好タイム決着。開催最終週でも馬場の傷みはほとんど見られず、かなり走りやすいコンディションだった。

似たような馬場、加えて戦前から流れが落ち着くとの見立てだったオークスでは好位追走から抜け出したアーモンドアイ。そんな前例はあったが、今回、スタート後、インの3番手に陣取ったC.ルメール騎手の判断には正直いって驚かされた。だが、もし最内枠から待機策を選択していたらどうだっただろう。あまり経験のない揉まれる形になるリスクが発生するのは自明の理。高速馬場である点も考慮した上での最善策だったと考えられる。結果は内々をロスなく運び、直線に向くと一旦は抜け出しかけたキセキをキッチリと捉えた。

C.ルメール騎手の好騎乗が光ったが、これはアーモンドアイがキッチリとオーダーに応えてくれると信じての行動。正攻法で強力な年長馬を撃破。②着につけた0秒3差以上の力差を感じた。

アーモンドアイは体が絞れており、屈強な牡馬に混じっても落ち着き払って周回(撮影:yu~kun)

「素晴らしい馬です。今日は少しペースが速かったんですが、流れに乗ってずっとリラックスして走れていました。キセキは強い馬でなかなか止まらないので、彼の後ろで直線まで我慢しました。競りかけてから凄く頑張ってくれました。まだ3歳でこれからどのようなレースを使うかはまだ分かりませんが、今年1年、素晴らしい走りをしてくれました」とレース後のC.ルメール騎手。その言葉通り、アーモンドアイの走った今年の足跡は輝かしく、来年はどのような路線を歩んでいくのだろうか。アーモンドアイの円らな瞳に映るのはどんな景色か。ジャパンカップを制した今、全世界の競馬関係者、ファンが注目していることだろう。

アーモンドアイの4代血統表

 ②着のキセキはこれがこの秋、3戦目。映像で見た追い切りの動きは疲れが微塵も感じられず、むしろ更に上向いている印象すら受けた。迷わず主導権を握り、5ハロン目からは11秒台のラップを刻む。そしてラスト1000mは57秒台でまとめたのは立派の一語。実際、③着は3馬身半離している。川田騎手が最大限に力を引き出した形だが、今日のところは勝ち馬を褒めるべきだろう。

秋3戦目と思えぬ活気溢れる周回がひと際目を引いたキセキ(撮影:yu~kun)

 ③着スワーヴリチャードは7枠からの発走だったが、1コーナーでM.デムーロ騎手が内へ誘導。内ラチ沿いを脚をタメながら進み、3~4コーナーではアーモンドアイの直後に迫る。だが、直線に向いて残り300m付近で前2頭に離されてしまい、そこから再び差を縮めることは叶わなかった。着差だけ見れば完敗だが、スタートでの接触が祟った天皇賞・秋のダメージを引きずらずに好走できた点は評価できる。

 前年の覇者シュヴァルグランが④着。上位3頭は内目をロスなく運んでいた馬ばかり。直線で馬場の中ほどに持ち出し、ゴール前ではスワーヴリチャードに迫って見せた。ミッキースワローは後方を進んで最速の上がりをマーク。札幌記念以来の実戦でこれだけ走るのだからやはり能力は高い。この2頭は次走の有馬記念が狙い目となりそう。今から楽しみでならない。

 

text by 藤原

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